盛り上がりを見せるネット通販にコミュニティの活用が盛んだ。コミュニティ内に滞在する時間が長くなるにつれ、コミュニティとショッピング機能が結びつく機能が望まれてきた。ソーシャル・コマースはEコマースを変えるか?
通販企業は、ネット通販をカタログ通販の補完的な役割として展開はするものの、あくまでカタログビジネスのプロセスを踏襲するために、ネットの持つスピード感やコミュニティとしての機能、リレーション構築などを十分に活かすことができない。
そうした原因によって、多くの通販会社が、インターネット販売の割合が全体の中であまり変わってこない、あるいは、カタログ通販の売り上げに比例して、インターネット通販の売り上げも変化するという事態に陥っている。
そんな中、大きな流れになりそうなのが、ソーシャル・コマースだ。ショッピングユーザーは、Eコマース内よりも、コミュニティ内に滞在する時間が長くなっており、インターネットの本来機能としてのコミュニケーション機能がますます強化されるにつれ、この傾向はますます強化されるだろう。
もともとEコマースのネットマーケティングにSNSやブログなど、コミュニティ機能が活用されていた。しかし、あくまで商品説明の補完機能として、あるいは新規開拓の一手法としての活用でしかなかった。現在アメリカでは、有力通販会社の大半はコミュニティ内にショップを展開しており、コミュニティ内でのショッピング機能も強化されつつある。コミュニティとショッピングがようやく結びつきそうだ。
これまでEコマースにとってのコミュニティ機能は、口コミサイトへの広告、Eコマース内のレビューや掲示板、あるいはブログなどでの紹介~アフィリエイトといったように、あくまでEコマースの既存プロセスの中に組み込む形で行われてきた。しかし、このソーシャル・コマースによって、ユーザーはコミュニティの中にいながら商品購入ができるということになる。つまり、これまでの購入プロセスが変化するのだ。
アメリカ人と比べ、日本人はユーザー間よりもメーカーのWebサイト情報を信じるというデータも過去にはあったが、このソーシャル・コマースは確実にユーザーの購買に対する考え方とプロセスを変える。すでに、Eコマースは単なる売り側と買い側間の情報伝達チャネルではない。ネットをカタログの補完として扱った企業が苦労しているように、この機能を単なる補完機能と片付けてしまわないことだ。
新たな購買プロセスの創出に取り組む企業だけが、ソーシャル・コマースを新たな価値創造手段として活用し、ビジネスの拡大につなげることができるだろう。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2008.09.26
2010.04.20