「クラウド」が花盛りだ。そのひとつはもちろん「クラウド・コンピューティング」だが、むしろ注目したいのは、同じクラウドでもクラウド(群集)だ。私たちはこれからこの2つのクラウドの中で生きていくことになる。
それに対して、クラウド(群衆)・ビジネスのもうひとつの側面には、消費者が生産者として参加するビジネス・モデルがある。ジェフ・ハフが、『クラウドソーシング』(中島由華訳 ハヤカワ新書)の中で、「昔むかし、生産者と消費者がいた。ところがインターネットが登場し、シリコンチップの価格が低下すると、生産者と消費者の区別が曖昧になり始めた」と述べているように、プロデューサー(生産者)とコンシューマー(消費者)が交差し、ネットワーク化し、まさに「プロシューマー」が多数出現している。
こうしたスキームは、P&Gのような大企業でも採用されている。それは、世界中の研究者をネットワークでつなぎ、14万人もの科学者のネットワークを活用することで、画期的な商品を生み出し、業績を好転させている。
これらの事実は、これまでの我々の仕事のスタイルを一変させる可能性を持つ。自分の会社の技術だけでせまい市場の中で考えればよかった世界から、これまで全く想像もしなかったような業界や業種、あるいは学生や主婦といった、競争相手にすらならなかった人々が競争相手としてやってくるようになる。もちろんグローバルにだ。
こうしたスキームが可能になるのは、ネットワークでつながれたコンピューティングの世界であることは言うまでもない。同じクラウドでも前述した「cloud」が格好の舞台となるということだ。
クラウドとクラウド、私たちはこれからこの2つのクラウドの中で生きていくことになる。
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