『タマホーーーーム♪=木村拓哉』は、戦略的にどうなのよ?

2009.11.07

営業・マーケティング

『タマホーーーーム♪=木村拓哉』は、戦略的にどうなのよ?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

みのもんたから木村拓哉へ。タマホームのCMキャラクター起用は、いつも衝撃的である。 その話題だけで、充分にCM効果はある。認めざるをえない。 しかし「ビバリーヒルズにタマホームを建ってたら」と言われてもなぁ。その広告効果の「質」については、少しばかり疑問である。

3ヶ月程前のことである。「マイケル謎の死の2日前に撮影された、木村拓哉 幻のCM」というニュースがサイゾーウーマンから提供された。

ディープパープルの『Burn』を使用した

“タマホーーーーー ム♪”

というサウンドロゴが印象的な、あのCMには、幻のテイクがあったと木村拓哉自身がラジオで打ち明けたというもの・・・。

「この先も日の目を見る事のないかもしれない"幻のCM"。それは、あのマイケルジャクソンをモチーフにしたものだったんです――。」
「CMプランナーのヤマザキさんと監督とディスカッションする中で、『ビバリーヒルズにタマホームが建ってたら』っていうのもあったんですけど。『それって、それこそ、マイケルがタマホームに住んでたらってことですよね?』って言ったら『実はそれ、本当にやりたいことなんですよ』って言われて」
「小道具としてサングラスがあったんで、洗面台の上でかけてね。もしマイケルがタマホームに住んでたら......ハッ!! みたいなノリで、マイケルらしく動いて『ホウ!!』って、やったんですよ。現場の、ホントそのときのノリでね」

「マイケル謎の死の2日前に撮影された、木村拓哉 幻のCM」サイゾーウーマンより

そうなのだ・・・。

タマホームのあのCMは、ノリで出来ているのだ。

お洒落だし、センスで勝負しているのもわかる。しかし、数千万円を出して購入する一戸建ての家を売る会社のCMがノリで作られて良いのか・・・考えてみる。

みのもんたから、木村拓哉へ。CMキャラクターを変えたということは、戦略を変えようという意図があったからだろう。安くて庶民的な一戸建て住宅ブランドから、若年ファミリーにも受け入れられるセンスある一戸建て住宅ブランドへ。
今まで開拓できていなかった層への広告アプローチとしては、戦略的で面白い。攻撃的かつ刺激的。広告作品としては、素敵である。
しかし、良く見てみると、その展開は、戦術的に、あまりにも大ざっぱである。

「ビバリーヒルズにタマホームを建ってたら」と大々的に告知しながら、その答えは、どこにも一切ない。せめて、チラシやウェブ上で、何らかの種明かしがあれば嬉しいところなのだが。
さらに、タマホームの看板やチラシや販促ツールに出てくる木村拓哉は、見事に、同じ衣装で、同じようなカットばかり・・・。いろいろと制約があったのだろうことが予測できる。

面白いけど、親切ではないのだ。
ノリだけで、どこもフォローされていないのだ。
そこに、タレントは居るが・・・お客様が居ない。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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