広告代理店最大手の電通が、先日、9月単月度の売上高を発表した。 それによると全社売上は1307億9000万円となり、前年同月比で83.0%の値にとどまっている。広告業界全体に景気が悪いと言われていたが。あの電通が、ここまで悪いとは、正直ショックだ。北京オリンピック効果の後だから・・・と、言い訳しても・・・惨憺たる結果だ。
既存四大メディアとされる新聞・雑誌・ラジオ・テレビいずれも-8~-15%ほどの規模縮小。一方で、インタラクティブメディアやOOHメディア(Out of Homeメディアのことで、交通広告や屋外広告)などが伸びるなど、確実に潮目が変わったのがわかる。発表資料
マス広告の経費削減は、
効果の見えづらいものに経費を使うほど、
「うちは悠長ではありません」というクライアント側のメッセージである。
言い換えると・・・もっと智恵を出せという叱咤だ。
効果を出すために必要なことは・・・
商品や企業の魅力=差異のポイントを
一番近道で、一番欲しいと感じるだろうユーザーに伝えることだ。
要するに、マーケティングの再点検を求められていると言っていい。
では、インタラクティブメディアやOOHを、マスメディアと上手に連携させる手法を提案できたら、それで広告業界は、この不況を乗り切れるか・・・と、言ったら・・・否だっ。
そんな小手先のマーケティング論で乗り切れるほど、今回の大きな潮目は、甘くないような気がする。私も含めた広告に携わる者達の「虚業」意識に、大きなシフトが起こらないと、この環境変化に最適化するのは、困難な気がする。
「虚業」のままでいると、
商品や企業の表層だけを見て差別化を創造しようとする。
そうすると、広告主導で培われたブランドは、虚構のものになっていく。
表層的な戦術話し繰り返しても、それは、虚構のものであって・・・
「実業」に永続的に効果をもたらすものにはならない。
そういう現実を、
クライアントも、ユーザーも、みんな肌でわかってきたのが現在であり・・・
「実業」の人達は、
「虚業」の人間の言うことをあまり信用していないという訣別が、
ハッキリと起こり出しているのだと受け止めた方が良い。
最近、福岡の美容業界のオーナー達と話す機会が多くある。
そこで出てくる話は、傾聴に値するものがある。
毎日、何百人の顧客と接し、何十人もの従業員を使っている。
その「実業」の現場から出てくる意見は、際だっている。
どこよりも早くインタラクティブメディアを活用しているし、
当たり前のようにOOHもクロスさせている。
遅れているのは、
私達・広告業界=虚業の連中だということがハッキリ良くわかる。
これからは、マスマーケティングではなく、
エリアマーケティングの時代だということが良くわかる。
サービスやブランドの話しを突き詰めていくということは、
店舗や商品や企業の存続価値を突き詰めていくことで・・・
その過程で生まれてくる主体性や熱意こそが、
市場差別化の根本的価値であることに気づかされる。
「実業」の永続的な価値を生むお手伝いをするなら、
「虚業」の我々は、もっと、現場に降りていかなくてはならない。
現場の声を聞く、責任者と話し込む、
「何でやっているか」「何がしたいのか」を突き詰めて行く。
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PR論
2009.11.07
2008.11.19
2008.10.10
2008.07.30
2008.07.17
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。