パーソナルトレーナーという職業柄か、当方は「身体の痛みに対して温めた方がよいのか、冷やしたほうがよいのか」という質問を受けることが多々ありますが、実際のところ多くの人は身体の痛みに対してどのように対処したらよいのか分からないのではないでしょうか。そこで今回は、身体の痛みに対する対処法について簡単にご紹介させて頂きたいと思います。
■ケガをした時にはどう対処すべきか!?
基本的にケガをした直後(受傷直後)は、炎症、痛みを軽減するためにRest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(高挙)、Support(固定)を確実に実施しなければなりません。
受傷直後のこの対処が遅れることによって、その後の状態に大きな影響を及ぼすことになるのですが、この段階では、まず受傷部位を「冷やす」という対処が重要になります。
なぜ受傷部位を冷やす必要があるのかというと、冷却することで受傷部位周辺の組織における血流や代謝を減少させ腫れや浮腫の減少をもたらさなければならないからです。
つまり、受傷直後においては、痛みや腫れを抑制するために、受傷部位周辺組織における酸素需要量、血流量を抑える必要性があるので、冷やさなければならないということになる訳です。
また、受傷部位を冷やすことで麻酔効果もありさらに痛みを抑制することが可能となります。
そしてその後、整形外科的治療(手術、ギプス固定など)が行われ、痛みの軽減、患部の安定がみられるころから温熱療法が施され、同時にリハビリテ-ション(プログラム)を開始することになります。
つまり、ケガをした直後は、受傷部位を冷やし、そして受傷部位が安定してきた頃から温める必要があるということになる訳です。
■急性的な痛みに対しては冷やしてから温める
いい換えれば、急性的な痛みに対しては冷やし、慢性的な痛みに対しては温めるという対処になるといってもよいかもしれません。
そして、冷やす、温めるの目安としては、受傷部位の状態によっても異なるのですが、受傷直後の適切な対処がなされていれば、受傷直後から2~3日間は、冷却、3日後あたりから温熱に切り換えるとよいとされています。
ここで、多くの人が勘違いをしているのが、冷やすことで、あるいは、温めることで痛みを完全に取り除こうとしている点です。
しかし、冷却だけ、あるいは温熱だけでは痛みを完全に取り除くことは出来ません。
実は、冷却も温熱も、物理療法であり適切な対処がなされた時にはじめて“補助的”治療として用いることが出来るのです。
つまり、冷却も温熱も受傷部位の状態を整えるための手段であり、痛みを軽減させることのみが主たる目的、効果なのです。そして、受傷直後に医師の診断に基づく外科的治療がなされた上で適切に活用された場合のみに補助的治療として機能するものなのです。
従って、いかなる状況であったとしても、ある部位が急激に痛み出したら、まずは「冷やし」その後、医師の診断に基づく適切な治療を施した後に、冷却と温熱を活用することが望ましいといえます。
関連記事
2009.11.01
2009.11.02