~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
「全然怖くなんかありませんよ。
だって空襲警報が鳴っているということはイラクの戦闘機がどこ
かに爆弾を落としてイラクに向かって帰って行ったということを
表しているというのはこの国の常識だからね。
イランのレーダーはソ連製でとても性能が悪くってね。
音速で国境を越えてぶっ飛んでくるアメリカ製の最新鋭のイラク
戦闘機なんか、とてもじゃないがリアルタイムに探知なんかでき
ないんですよ。
雷と同じです。落雷の音を聞いたってことは、既にどこかに雷が
落ちていて、自分には落ちていない、つまり生きているんだとい
うことがわかるじゃないですか。 それと同じっすよ。」
< なるほど・・・ >
と、思いながらも、それを聞いた宮田はぞっとした。
< ちゅうことは、音速を超えて攻撃してくる戦闘機っちゅのん
は、理論的にはその爆音が戦闘機の後からついてくるわけで、
襲われるときには、まるで忍者のように音もなくどこからと
もなく現れて、そっと近くに忍び寄ってきて、気づく前に瞬
間的にやられてしまうわけか! >
実戦の迫力を前に、呆然とした宮田であった。
「宮田君。ゴルフはやめようか? なんだか興ざめだ」
支店長はそういってクラブハウスにとぼとぼと向かっていった。
宮田も同感であった。
宮田にとって初めてのゴルデビューは、日本から遠く離れたイラン
の地で、それも空襲警報の中でのほろ苦いデビューとなった。
エンタテイメントの楽しさからほど遠いゴルフとなって、スコアど
ころではなかった。
次号に続く。
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商社マン しんちゃん。 走る!
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