~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
今後もこのような関係を引き続き継続していきたいので末永くよ
ろしく御願いしたいと思います」
< まー。こんだけ言うんやったら、ちゃんと発注せーへんと
承知せーへんで。 ほんま・・・ >
結局、長時間に渡る交渉の結果、テンションレベラーは必要である
という日本側の論理的な主張が通った。
宮田自身も、日本非鉄金属工業鹿沼工場のポイントの箇所の図面と
写真を中央の机に置き、それを指し示しながら自らその必要性に関
して熱弁をふるったのだった。
その結果として、アロイコは、入札各社に対して、改めて仕様に必
ず入れるように指示することとなった。
難題であった、あのアッラーの神の記述を入れるかどうかに関して
は、日本にも八百万の神がおり、同じような文言を入れないとアン
フェアであるとまず主張した。
ただ、一人のイスラムの神様と、八百人(やよろず)の日本の神様
の全ての神様をひとつの契約書に入れるとなると、大変厄介となる
ので、この際双方そういう主張は取り下げようではないかと提案
し、その主張に最終的にムハンマド部長が合意し、結局何も挿入し
ないことになった。
後でわかったことだが、イラン側もダメ元で突きつけてきただけで
あった。
後はL/C開設銀行の問題である。
これに関しては、イラニアン銀行を開設銀行からはずすということ
は、大日本商事として代金回収リスクをはじめとする契約のリスク
が発生するので、契約金額の値引きは一切受けないという条件と引
き換えに、テヘラン商業銀行を開設銀行として認めることに合意し
た。
ただし、テヘラン商業銀行に対して支払い確約を別途一流銀行から
もらっている信用状、つまりConfirmed L/Cを要求するという条件を
提示し、アロイコ側もこれを了承した。
一連の会議内容が、Minutes of meeting(打合せ議事録)にまとめ
られ、代表者がサインをした後、会議は無事終了した。
どこに発注するかどうかの最終通知は2週間以内にアロイコから大
日本商事東京本社に連絡されるということになった。
< ふー。 これでやることはやった。 後は神頼みだけや・・ >
次号に続く。
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