~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
主に全加重を受ける圧延ロールの軸に対する金属疲労です。
これは丸の内重工の技師団の長年の経験と研究を元に、それと我
々技術者としてのプライドをかけて言い切ることができます。
< 技術者としてのプライド・・・か。 これ重いな・・・ >
この一連の技術的説明に対する追加資料は皆で徹夜で作成しまし
たので、それを元に今日の会議できちんと説明します。
それと、事例を調べましたら業界トップである日本非鉄金属工業
の鹿沼工場の一号ラインの圧延機はテンションレベラー付で弊社
が納入しており、その仕様書と図面、写真をたまたま持ってきて
おりましたので、それも併せて提示したいと思います」
宮田は、内村から手渡された写真を見て思った。
< おお! 懐かしい写真やないの! >
そこには何度も見慣れている懐かしい日本非鉄金属鹿沼工場の圧延
ラインの写真があった。
その写真を見たとき、その圧延機の駆動する音や油のにおい、ボル
トの位置、オペレーターの活気のある声などが思い起こされて、な
んだか不思議と心の底から勇気がひしひしと沸いてくる感じがした。
< あー、なんか落ち着くわー。 安心感ちゅうのかな? >
海外ビジネスとは全く縁がないと思い込んで日本非鉄金属工業鹿沼
工場担当になった自分の境遇に愚痴を言いながら、嫌々通い続けた
栃木の片田舎の鹿沼工場。
この工場が、皮肉なことに今まさに宮田の国際ビジネスのデビュー
における大事な契約のクロージングという大事なステージにおいて、
大きな救いの手を差し伸べようとしてくれていたのであった。
< 世の中どこでだれが助けてくれるかわからへんなー。
鹿沼さん。 すみませんでした! >
日本非鉄金属工業の鹿沼工場が、今まさに自分にエールを送って励
ましてくれているようにも思った。
それと、何より心強かったのは、この目の前にいるメンバーみんな
が、このイランという日本とは文化も宗教も食べ物も違うこの国で、
会社や組織を超えて、ひとつの目的に向かって一体となって誠心誠意
活動しているということであった。
ひとつの目的とは、この顧客のことを思い、本当にいい買い物をして
もらいたいという一心であった。
宮田には、今回この小さなホテルの部屋に集合している皆一人ひと
りがとても頼もしく思えた。
宮田を中心としてチームが一体となり、それをまとめる商社マンと
してのやりがいを肌で感じながら、商社マンとしてのモチベーショ
ンの高まりを感じるとともに、商談の成功の予感がなんとなくして
くる宮田であった。
次号に続く。
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商社マン しんちゃん。 走る!
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