検索という言葉が一般化し、ビジネスだけでなく生活の中にも溶け込んできたのは、パソコンの普及と携帯電話のインターネット機能の進化によるところが大きい。 ビジネスで何か分からないことがあれば、すぐに「検索」。 日々の暮らしでも、ちょっとしたことを調べるのにも、携帯で「検索」。 だが、本来の意味にちょっと立ち戻ってみたい。
先日「アナログ探索によって時空を超える」という記事を書いた後、ふと「検索」や「探索」、「search」という言葉を辞書で調べてみると面白いことがわかった。
【search/「ぐるぐると動き回る」が原義】:ジーニアス英和辞典
なるほど。
元来、「ぐるぐると動き回る」という足を使い、それなりに苦労を伴う行為を今日はコンピュータの検索エンジンを使役して代替していることとなる。
その苦労から開放されているが故か、人はいとも簡単に「検索」をして、答えを導き出す。
各種の論文やレポートにおいて、インターネット上の論説を引用する問題が指摘されているが、事実、残念なことに学生から提出されるレポートも年々ネットからのコピー&ペーストの比率が高まっている。
冒頭に記したとおり、searchとは元来、「ぐるぐると動き回ること」を意味するようだ。
易きに流れず、必要苦労はせねばならない。
【search/「ぐるぐると動き回る」が原義】。
これは自戒の意味も込めて覚えておきたいことだ。
また、search=「検索」と訳されるが、同義語には「探索」もある。そして微妙にニュアンスが異なる。
広辞苑 第五版によると以下の通り。
【検索】文書やデータの中から、必要な事項をさがし出すこと。
【探索】さぐりもとめること。さがしたずねること。
意味合いとしては「探索」の方が、自ら「探す」という意志の強さを感じられないだろうか。
PCや携帯で「検索」ボタン一発で答えが返ってくる気軽さにはない、searchの原義である「ぐるぐると動き回ること」が想起される。
また「探し求めること」を意味する「索」の文字は、「思索」にも使われる。
「思索」とは「物事のすじみちを立てて深く考え進むこと」である。
インターネットを「検索」して、フムフムなるほどと思う。機械的にコピー&ペーストする。
そうではなく、自らの意思を持って「探索」し、そこから深く「思索」することも必要なのだ。
便利さは怠惰を生む。
目的意識の喪失と怠惰は進歩を生まない。
高度に発達した文明を持つも、目的意識を失い、怠惰に暮らすが故に滅亡の危機に瀕する星と、その星を救おうとする小学生の活躍を描いた小学生向けの図書。
娘が読書感想文を書くために読んでいた本、「 ヌルロン星人をすくえ! 」を思い出してしまった。
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2007.09.05
2007.09.07
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。