夏休みといえば旅行です。旅行といえば、旅行会社の旗の下、カメラぶら下げて観光地をウロウロする団体旅行こそ日本の文化ではないでしょうか?しかし昭和の終わりとともに、パッケージツアーはすたれて行ったのでしょう。そんなすたれた廃墟ツアーのつもりで行ってみたところ、意外な発見がありましたのでレポートします。
翌朝。
8時にロビー集合です。この日は立山黒部アルペンルート縦走というハイライトです。
これは江戸時代なら10日くらいかかる行程を半日で移動できるのです。すごいですね、テクノロジーの進化は。まずはケーブルカーで美女平というところに向かいます。昔立山は霊峰ゆえ女人禁制でした。その禁を破って入山した女性を杉に変えてしまったと言われる恐ろしい場所です。
ケーブルカーを降りると、ハイブリッドバスで立山を上って行きます。尾根沿いの道を進み、ハイマツの茂る高原は、それはそれは汚れた心を洗い流してくれる、すばらしい景観です。
この辺りですでに歩くのもめんどくさくなっています。バスで1時間走ればもう、足と腰に根が生え状態です。このまま降りずにバスの家の子になりたいです。
しかし降りなければなりません。大人として。
着いた室堂という駅は山頂ではないが尾根の一部で、正に絵や写真で見る立山連峰の山が、一番間近で見られる場所です。ここでは昼食場所が限られているという理由から事前に別料金でランチを予約できます。もちろんしましたよ、日本人ですから右に習え。
ブリ定食(1,500円)とキノコ定食(1,300円)。ちょいと高めですが、山頂ですから。缶コーラが250円とかするでしょ?あれと同じです。別に文句はありません。まあ味はね。山の上ですから。
個人的には山頂の立ち食いそばが食べたかったので、この後、「そば欲」が押えきれなくなりました。ちなみに立ち食いそばは7~900円くらいでした。
昔小学校の先生が、わざわざハイマツを見に旅行に行った、という話を聞かされ「ハイマツ」とは何者?という疑念が40年ぐらいあったのですが、それが今急にわかりました。目の前にある小ぶりな松の木がソレです。
生物学的には高原という気象条件ゆえ、大木になることができず、あたかも草のような低木で育つ末の一種のようです。
さあ、みなさん、ご陽気に!♪松の木・・・・(著作権上ここが限界)。ちなみに私が今年一番好きな盆踊りが港区でしか踊れない「まつのき小唄」です。
今にして思えば、こんな草を見にわざわざ立山まで行くなんて変わり者の女教師だなー。しかも私が小学生当時はすごい大人の女性だったけど、今にして思えば30そこそこだし。全然ストライクだぜ(意味がわかりません)。
さあ、いいかげん自然に飽きて来たところで集合。アルペンルートはまだ前半。いよいよ黒部に入って行きます。トロリーバスで黒部山中の真下のトンネルを抜け、正に「黒部の太陽」「プロジェクトX」の場所を通って黒部ダムへ。
実は映画もXもちゃんと見てません。一番印象に残っているのは「白い巨塔」です。なんで唐沢?と思うでしょうが、全然違います。私は高校生のころからあの山崎豊子の大河小説を20回以上読み返し、唐沢なんか知らないけど、田宮二郎のテレビドラマ、映画、ついでに佐藤慶の映画まで全部見ている、白い巨塔フリークなのです。
主役の財前五郎が、苛烈な権力闘争を勝ち抜いて行くさ中、一瞬だけ、学会のついでに黒部を訪れるシーンがあるのです。当時はなんでこんな余計なシーンが最後の臨終にまで出てくるのか、と思いましたが、やはり人生経験を積むとわかるもんです。私もいろいろな権力闘争に巻き込まれたりありましたが、財前が大自然の大きさと深さに、自分の立ち位置をふと思い起こす、そんな圧倒的な迫力のある光景なのでした。
黒部ダムPR映画(by関電)で、気温5度の中、破砕帯の濁流を浴びながら掘削作業をした男たちのシーンは思わず目頭が熱くなります。頭の中に勝手に「ヘッドランプ、テールランプ」が流れます。結局プロジェクトXかよ。貧困な想像力だな!
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2015.07.17
2009.10.31
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。