マネジャーとして失敗しないための基本スキルとは? 「人を使って仕事をなせ」ではなく、「仕事を使って人をなせ」・・・ 世界的な調査会社ギャラップ社で数多くのマネジャー、リーダーの特性を見てきたマーカス・バッキンガムの著書「最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと」(The One Thing You Need to Know)から探ります。
マネジャーとして「部下一人ひとりの特色を見極め、最適なメンバー構成を実現すること」がスタートとなる。
2:「期待する仕事の内容をはっきり示す」
優れたマネジメントの第二の基本スキルは、「期待する仕事の内容をはっきり示すこと」である。
言い換えれば、上司が部下に対して明確な期待を伝え、今期の目標として設定する力である。
成果主義の人事制度が浸透し、目標管理制度の高度化に取り組む企業は多い。
しかし、成果主義への批判のひとつとして取り沙汰されるのが、マネジャーの人事評価スキルである。
成果主義人事制度に移行した企業は必ず人事評価者研修を行うが、その目的は新しい評価制度の理解と評価者として最低限必要な知識とスキルを修得することにとどまる。
実際には、部下の目線から判断して、「この上司は自分のことをしっかり(公正に)評価してくれている」と思われている上司はごく稀なのだ。
いくつもの要因が考えられるが、そのひとつにマネジャーの目標設定力の低さが挙げられる。
人事評価スキルは、実は目標設定力に依存していることに気づいていないマネジャーは多い。
期初に設定した目標がいい加減で、期末に評価のしようがない目標となっている事例は枚挙に暇がない。
調査によれば、職場で何を期待されているかわかっている従業員は、全体の50%にも満たないという。
研修の場面で、被評価者としてのメンバーに聞いても、新任マネジャーに聞いても、実際には50%どころではなく、相当低い感覚を持っている。
マネジャーとしては、その重要性を理解していても、ほとんど実行できていないということだ。
実際に研修場面でマネジャーに「年間に部下との面談を何回ぐらい行うか? また、一回にかける時間はどれ位か?」という質問をしてみると、大体2回程度、1回あたりの時間は平均して15分程度である。(もちろん組織によって差がある)
この数字から判断する限り、部下と充分な話し合いができて、部下が自分の期待と目標がはっきりするレベルに達していないことが推察される。
組織で決まった回数があるとしても、優れたマネジャーは少なくとも年に4~5回は部下と期待と目標についての話し合いを持つ。
それだけではなく、進捗状況を確認し、アドバイスを与え、必要に応じて軌道修正をおこなう。
マネジメントの基本として当たり前のことだが、職場を取り巻く環境変化が激しく、目の前の問題解決に忙殺されるマネジャーにとって、決して簡単なことではない。
次回は、残りの2つのスキルについて紹介し、優れたマネジャーはチェスをする真意を考える。
(つづく)
参考文献:「最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと」
(マーカス・バッキンガム著、加賀山卓朗訳 日本経済新聞社)
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2007.09.09
2007.10.26
増田 崇行
株式会社クエストコンサルティング 代表取締役
2006年5月に株式会社クエストコンサルティングを設立しました。 組織人事領域におけるプロデューサーとして、クリエーターとのコラボレーションによりユニークなサービス、ビジネスを開花させてきました。今後も「Quest for the Human Brightness」をコンセプトとして、インパクトのあるサービスを開発しご提供することで、人と組織の本質的価値の向上に貢献できたらと考えています。