「商工ローン」と聞いて、あまり良いイメージを持っていない人も多いだろう。厳しい取り立てで社会問題にもなった商工ローンだが、かつての“勢い”はどこに行ってしまったのだろうか? とうこうの片岡社長が、業界を取り巻く現状について語った。[土肥義則,Business Media 誠]
貸出金利を引き下げたのは、とうこうだけではない。多くの商工ローンではここ数年、金利を引き下げに踏み切っているが、こうした動きの背景にはどのようなことがあるのだろうか。
小口を捨て、大口に傾注
商工ローンも消費者金融と同様、改正貸金業法が適用される。改正貸金業法の大きな柱は「上限金利の引き下げ」と「総量規制」の導入だ。これまで出資法の上限金利は29.2%だったが、それが元金10万円未満であれば20%、元金10万円以上100万円未満で18%、元金100万円以上で15%という金利が上限になる。「金利が下がると、“金融過疎地”が拡大する」という片岡社長。金利の引き下げと金融過疎地にはどのような関係があるのだろうか。
上限金利の引き下げが適用されるのは2010年6月までだが、とうこうでは前倒しで金利を引き下げてきた。その結果、営業スタイルの変化を余儀なくされたという。
片岡社長は「金利を引き下げたことによって、収益力が低下し、不採算店舗が増えた。そのため店舗の統廃合を進めざるを得なかった」と振り返る。日本貸金業協会のデータによると、商工ローンの店舗数は2008年4月には252店あったが、2009年3月には81店と、実に3分の1ほどに縮小している。もちろんとうこうも例外ではなく、10年前の1999年には68店あったが、現在では大都市圏を中心に7店しか残っていない。
また上限金利の引き下げと同時に、総量規制もスタートする。この総量規制が始まれば、貸金業者は利用者の年収の3分の1までしかお金を貸すことができなくなる。例えば年収300万円の人であれば、上限枠は100万円だ。現場サイドではすでに総量規制をにらんだ動きが始まっており、「数少ない優良顧客をめぐって、貸金業者は融資合戦を繰り広げている」(大手消費者金融)
しかしこうした小口のお金を貸すのは、消費者金融の方が強い。消費者金融の店舗数や無人契約機の台数、人員――すべてに劣る商工ローンは後手に回ってしまい、ジリ貧状態に陥っているのだ。その結果、小口を“捨て”、大口の不動産付融資に傾注しているのが実情だ。
店舗の統廃合と融資金額の大口化への流れは、借り手にとってどのような影響を与えているのだろうか。片岡社長は「無担保で200万円前後のお金を借りたいという人は、貸金業者の審査をパスすることは難しい」とし、そんな人たちのことを「“金融難民”だ」と指摘した。
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