現在、企業のCSRに対する活動が活発化し、その活動における報告のあり方が大きく変わろうとしています。「CSR報告書」という報告形態がステークホルダーに対する有効な公表手段として認知度が急速に上がっています。
先日以前勤めていた商社時代の先輩からメールで写真が届きました。約10メートルのユーカリの木の写真です。時は1998年、ある電力会社と一緒に排出権獲得と環境保全を目的としてオーストラリアの炭鉱に施した植林事業のユーカリが育った姿でした。何も無い炭鉱跡地に私自身が植えた小さな苗が大きく育っていたことにある種感激を覚えましたが、それ以上に感じたのは、こうした環境に対する取り組みに対する企業のパブリシティの仕方の変化です。
当時、炭鉱への植林はそれなりにプレスリリース等でPRをしましたが、いずれも「排出権取引事業」への参入という観点でのパブリシティであったと記憶しています。
もし今であればCSR(Corporate Social Responsibility)の活動報告として違った形でのパブリシティの仕方になっていたであろうと思います。
現在、企業のCSRに対する活動が活発化し、その活動における報告のあり方が大きく変わろうとしています。
環境省が実施した平成17年度における「環境にやさしい企業行動調査」の結果によると以下の結果が得られています。
① 上場企業においては47%の企業が環境報告書を作成している。
② ①の企業のうち60%以上が環境面だけでなく、社会的、経済的側面への活動も記載している。
③ ②の企業のうち約35%がCSR報告書という形で企業活動を公表しており、前年比22ポイントの上昇している。
上記を見ると、近年、環境保全活動は企業の経済面、社会面を含んだ全体的な貢献活動の一環という位置付けに置かれ、「CSR報告書」という報告形態がステークホルダーに対する有効な公表手段として認知度が急速に上がっていることを示しています。
そもそもこのCSRの概念とはどのような背景で発展したきたのでしょうか
概略は以下の通りです。
1. 1992年リオサミットの開催などにより国際社会での環境問題への対応が迫られる。
2. 1990年代前半に日本では環境への取り組みの具体的な形および外部へのアピールとして、「環境報告書」の作成やISO14001を取得する企業が増加
3. 環境報告書の内容の質ならびに信頼性向上のとめの世界統一ガイドラインを作成している国際的NPOであるGRI(グローバル・リポーティング・イニシアティブ)が、企業活動を環境、社会、経済の3つの側面から評価する「トリプル・ボトムライン」の手法をガイドラインに採用。
4. 2002年にGRIは最新のガイドラインである、「GRI Sustainability Reporting Guideline 2002」を発行。
5. 2006年には「GRI Susteainability Reporting Guideline Ver3.0」通称G3がリリース
6. 大手企業を中心に、環境報告書に社会、経済的側面をを盛り込んだ活動を公表するCSR報告書を作成する動きが主流となっている。
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