しゃらくさくない王将のクラシック・マーケティング

2009.08.12

営業・マーケティング

しゃらくさくない王将のクラシック・マーケティング

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

個人的には今、王将についてマーケティング的に褒めることほど恥ずかしい行為は無いのですが、褒めたいと思います。それは王将がヘソマガリな私にドンピシャな、非ナウ・マーケティングで成功していると思うからです。何よりそのあまりの王道ぶりにしゃらくさく無いところに好感が持てます。

王将は月間億単位の「割引券」を路上で配布し、店では何がしかの「特別提供メニュー」があり、やることなすこと、すべてがオーソドックス、いやここは敬意を払ってラテン語で「オルトドクス」と呼びたいですが、それが良くも悪くも「素」を暴きだす、現代の風潮には合うのではないでしょうか。

TBSラジオ「伊集院光の深夜の馬鹿力」で、DJ伊集院氏がテレビ番組制作予算がないので、王将に賞品のスポンサードを頼んだところ、その番組のレーティングやターゲット・コンセプトではなく、「お宅の番組はがんばってる若手を応援してますか?」と聞かれたとのこと。もちろんキーやプライムタイムに出られる訳の無い無名芸人・若手オールスターズで成り立つ番組だということを伝えたところ、「がんばる若者を応援するのが王将なんで、それなら商品券出します」とあっさり交渉がまとまったそうです。

真偽はともかく(伊集院氏がウソ付く意味がないので真実でしょうが)、こんなことをされたらそりゃあ伊集院氏、ラジオでしゃべるにきまってますよね。しかも伊集院氏の深夜放送ターゲットオーディエンスは明らかに、カフェめしやらスゥイーツとは別世界の住人。それが王将客層じゃないですか。

こうした一連の流れが計算の下行われているのか知りません。単なる偶然の可能性もあります。しかしブランドマネージャーやクリエイターやプランナーが頭をひねって出てきたアイデアも簡単に見透かされる時代。
クラシック・マーケティングの原点という王道を歩む王将の成功。ドンピシャ王将客層の私としては拍手を送りたい気持ちでいっぱいです。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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