先日、あるシステム会社様のリーダー層向けに、業務見直しの研修を実施しました。 その研修内で、非常に興味深い現象が起こりました。その現象を意思決定についての考察とあわせてご紹介します。
○リーダー層と経営層の売上目標(金額・構成)がほぼ同様に
弊社は人事部様や教育事業者様向けの研修企画・教材開発が主な業務であり、研修実施まではめったに行いません。
しかし、数年来親しくしていただいている、あるシステム会社の社長からのリクエストを受け、その会社のリーダー層への研修企画・実施を行う機会がありました。
研修内容の詳細は割愛しますが、アクティビティの1つで『次年度の自社の売上目標を設定する』というものがありました。
2つのグループに分かれて検討し、発表したのですが、なんと、全く同じ結果(前年度比150%)になったのです。
興味深いのは、売上げ構成(新規/既存、商品別)もほとんど同じであったことです。
講師から「目標売上が前年度比150%は一般的」という話があり、それに影響されたのは間違いありません。
しかし、残念ながらこの会社は、今年度の売上目標であった前年度比150%には到達できそうにありませんでした。グループワークの中でも、「130%くらいでよいのではないか?」という発言もありました。
つまり、リーダー層なりの考えで前年度比150%としたのです。
また、売上げ構成では新規顧客を積極的に開拓する必要が示唆され、いくらかチャレンジングな目標設定がされていましたが、それぞれの売上目標もほぼ同様でした。
さらに興味深いのは、研修時間外で社長や役員の方々とお話した内容も、ほぼ同様だったのです。
○意思決定の結果がほぼ同様になった理由
組織内にある一般的な不満の1つとして『上の人が勝手に数字を決めている。』という意識があります。
今回の研修に参加したリーダー層にも同じ意識を持っていた方がいるかもしれません。
しかし、その意識は大きく変わったのではないでしょうか。
では、なぜこの会社のリーダー層が2グループに分かれて検討した結論がほぼ同じだったのでしょうか?
さらには経営陣の結論ともほぼ同じだったのでしょうか?
それは、リーダー層が知識・ノウハウだけでなく、『正しい情報』を知ることができたからだと考えられます。
研修内での意思決定を前に、参加者は初めて自社の売上げや利益、商品別売上げ、新規/既存別売上げに関する正確な数字を知ったのです。
多くの非上場企業、特にベンチャー企業では、財務諸表の内容は従業員に対しても非公開です。
※非公開の理由は、単に経営層の給与や配当を公開したくないというものではないのですが、書くと長くなるのでここでは割愛させていただきます。
次のページインプット
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2008.03.07
2008.05.21
株式会社エデュテイメントプラネット 代表取締役
社内教育担当者・教育事業者・学校法人を対象に、研修(授業)企画・教材開発サービスを行う。 特に、繰り返し実施する研修で、講師の品質に大きく左右されず、常に一定品質以上の教育効果を生むことをめざした研修の企画・開発を行っている。 開発した教材のテーマやメディアは多岐に渡り、ビジネスゲーム『ロボロボ』は韓国大手製鉄会社でも活用されている。