考える営業。一朝一夕で変わるものではありません。 が、毛虫が蝶に変わるような実に見事な瞬間を見ました。 いったい、どんな仕掛けがあったのでしょうか。
提案営業などと言われるようになって久しくも20年。
なかなか営業が<考える>ようになってくれません。
頭を抱えていたとある営業会議。7名でのディスカッションです。
ディスカッションといっても、だいたいはリーダーのお説教になる。
このスタイルでは、メンバーに<考えさせ>ようとしても、<考え>ない。
言われことをどのようにするかは<考えさせられ>はしますが、
それでも殻から抜け出せない毛虫(キャタピラ)です。
リーダーの敷いた地面の上を動いているのです。
リーダーがいつものように新規顧客攻略のシナリオを提示。
メンバーはいつものようにその線に沿って現場情報を付加する。
リーダーは質問によってナビゲート。オプションを出して比較させる。
精度がだんだん高まっていく・・・。
ここまではこれまでのコンサルでお手の物になってきました。
でも、本当に自分の頭ではまだ<考え>ていません。
キャタピラの地面走行の域を出ないのです。
そこで、リーダーと仕掛け作りをしました。
リーダーが突然、思いついたようなアイデアを投げる。
新商品をサンプルとして渡せば使ってもらえるのではないか、と。
すると、メンバーはサンプルとして何をいつ渡すか話し始めます。
また突然、リーダーが、期限を決めて絶対に使ってもらうようにすれば、と。
すると、メンバーは期限をいつまでにすればよいかを話し始めます。
また突然、リーダーが、やっぱりサンプルだと次の購買につながりにくいのでは、と。
やっぱり、最初はカタログとキャンペーン情報を、と。
でも一度に渡すと、次が続かない、などなど。
その後も、いわゆるジャストアイデアによる攪乱作戦が続きます。
すると、メンバーの一人が「一体この目的は何ですか」と発言。
続いてメンバーは口々に、
「目的からすればサンプルは意味がないと思います」。
「期限を切らなくても使ってもらえると思います」。
「初回のインパクトを高めるにはメリットを強調すべきです」。
・・・延々と続く。キャタピラの地面走行に限界が・・・。
ついに曰く、
「目的さえしっかりしていれば、後は自分たちで考えられます!」。
みんな目的を書きとめ始めたのです。
よくぞ言った!そのことばを聞きたかった!毛虫が蝶に変わった瞬間でした。
その後の会議は、アイデアがどんどん出てきて目的に向かって前進飛翔。
リーダーはコーヒーを入れ始め、<考える>メンバーにそっと差し出すのでした。
------- Lesson Learned -------
目的意識が高まれば人は考えるようになる。
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2009.02.10
2015.01.26
株式会社インサイト・コンサルティング 取締役
わたしはこれまで人と組織の変革に関わってきました。 そこにはいつも自ら変わる働きかけがあり、 異なる質への変化があり、 挑戦と躍動感と成長実感があります。 自分の心に湧き上がるもの、 それは助け合うことができたという満足感と、 実は自分が成長できたという幸福感です。 人生は、絶え間なく続く変革プロジェクト。 読者の皆様が、人、組織、そして自分の、 チェンジリーダーとして役立つ情報を発信します。