3年程度で仕事をぐるぐる経験させていくことが育成上、本当にいいことなのか。一つの仕事分野に10年超関わることで得られる深い世界もまた存在する。「一つを徹すれば、理(ことわり)が視えてくる」。
そしてこうした道筋・法則のようなものが視えてくると、変化が怖くなくなる。
自分の変えない信念や軸ができてくるので、
変えるのは技術や適応方法でよい、というように腹が据わるからだ。
しかし、一つに徹するという「経験×時間」がなく、環境を頻繁に変える人は、
そもそも変えてはいけない信念・軸が醸成されず、
技術や適応方法を変えることに右往左往し、不安がる日々が延々続く。
(たぶん定年まで、そして定年以降も)
だから私は、働く個人に向けても、そして人事関係者の方々に向けても、
「十年一単位」という仕事期間を、もっと再考すべきだと投げかけたい。
* * * * *
最後に補足してもう1点。
この雑誌のインタビューで、茂木会長は、
リーダーシップを学ぶにはどうすればよいかとの問いに、
「小さい会社を経営してみるのがいちばんです。
企業の責任者というポジションを一度体験してみる。
人と組織はいかにすれば動くかということがよくみえてきます」と答える。
とすると、茂木式・経営プロフェッショナル人財の育て方というのは、
・20代から30代にかけて、「一畑十年」を2つの分野でやらせる
・そして、小さい組織でもよいので経営者の経験をさせる
ということになるだろうか。
「2つの分野を10年ずつ+経営者経験」―――
単純なようだが、実はこの要素で十分な育成方法・育成思想たりえると思う。
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2010.03.20
2015.12.13
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。