今年(07年)に発売20周年を迎える 「通勤快足」。 ターゲットの男性ビジネスパーソンにおける知名度は、 ほぼ100%でしょうね。 しかし、失われた時代と言われた1990年代以降、 競合他社製品や、安い製品の登場で長期低落傾向に陥りました。 売上で見ると、89年に年商45億円だったのが、 05年には同3億円という惨状です。
「通勤快足」は、誰でも知ってる超有名ブランドですから、
もっと売れているかと思いませんでしたか・・・?
(PCで「かいそく」と入力すると、ちゃんと「快足」と
漢字変換されるほどスタンダードなんです!)
では、なぜ、こうなっちゃったのか?
をプロダクトコーン理論に基づいて
考えてみたいと思います。
念のため、プロダクトコーン理論を簡単に説明しておくと、
商品を次の3つの要素で定義するものです。
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・規格=企業側の商品定義(ハードな定義)
・ベネフィット=生活者の得するコト、モノ(ソフトな定義)
・エッセンス=商品が持つ性格(擬人化)
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では、「通勤快足」のプロダクトコーンです。
(松尾の独自の判断によるものです)
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・規格=抗菌・防臭効果のある靴下
・ベネフィット=(女性に)臭いと言われない
・エッセンス=男としての自信
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さて、プロダクトコーンに基づく、
マーケティングコミュニケーションは、
規格→ベネフィット→エッセンス
と進んでいくことが望ましいとされています。
(その理由は、末尾のマインドリーディング記事や、
森行生さんの「シンプルマーケティング」をお読みください。)
「通勤快足」の場合、当初「抗菌・防臭効果」を謳って
大ヒットしました。
「規格」を訴求するという定石通りのアプローチで
成功したわけです。
さらに、きちんとデータや資料を振り返ったわけではないのですが、
通勤快足のベネフィットである、
「周囲の人(特に女性)に臭いと言われないですむ」
ということを訴えるコミュニケーションまでは、
行っていたように記憶しています。
つい最近、某調査で知ったんですが、男性にとっては、
「嫌い」と言われるよりも「臭い」と言われる方が
よりショックが大きいそうです。(実感としてわかります)
したがって、この「ベネフィット訴求」も、
「通勤快足」のヒットに大いに貢献したんでしょう。
問題は、この先にあったと思います。
通勤快足の持つ「エッセンス」、つまり、
通勤快足を履いていれば、
「男としての自信」が持てる
という点まで、訴求ポイントを移行することはしていなかった。
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2007.04.05
2007.06.30
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。