6月8日、日本コカ・コーラが緑茶風味・カテキン入りのコーラ「コカ・コーラ プラス カテキン」を発売した。リリースでは「スタイリッシュな女性のための」とあるが、狙いはどこにあるのだろうか。
特保飲料は通常の清涼飲料の相場、500ml・150円より少々高い価格設定がされている。ヘルシアスパークリングは189円である。一(はじめ)茶花もコカ・コーラ プラス カテキンも特保ではなく、価格は150円だ。
通常の価格と異なれば、自販機でのオペレーションは厄介になり、消費者も買いにくい。自販機の台数を力の源泉とする同社にとってはそれは避けねばならない。
しかし、理由はそれだけではないはずだ。もう一つは、消費者の需要価格への考え方である。確かにシリアスにウェイトやらウエストやらに問題を抱えている人にとっては、特保価格は気にならない。しかし、そうでない人にとって、価格の上乗せ分は受容しがたい。一方、通常の飲料と比べ、同じ価格で特保的な効果を何となく期待できるのであれば、そちらが選択されるはずだ。
あえて特保を取らない日本コカ・コーラの戦略は、低価格で利益率が低くなっても、可能な限りシェアを獲得するという「ペネトレーション(市場浸透)価格戦略」なのではないだろうか。シェアを最大化し、規模の経済と経験効果で利益を創出していくという、同社の得意技である。
消費者の低価格志向は、景気の低迷を反映してますます高まっている。一方、健康志向の高まりだけでなく、メタボ検診の義務化など、日常生活におけるウェイトコントロール需要はさらに高まっている。
一生懸命特保の認可を受けてそれを訴求する他の飲料メーカーと一線を画して、強大な販売力を背景に、健康への効果を期待させる製品を低価格で売りまくろうという日本コカ・コーラ。業界リーダーだからこそできる「力の戦略」に対抗する他社の差別化戦略。生き残るのは千に3つといわれる飲料市場の今後に注目したい。
関連記事:<日本コカ・コーラの茶系飲料戦略を「4P」の整合性で読み解く>
http://www.insightnow.jp/article/3570
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。