筆者が「ちょっぴりイケてない」というイメージを持っているファッションブランド「しまむら」。しかし、この不況下でも売り上げと利益を確保し、新規出店も意欲的に行っているという。しまむらはなぜ人気があるのだろうか。 [郷好文,Business Media 誠]
しまむらの店舗運営の秘密
にわか“しまラー”目線で店舗を一周。イメージと異なることがいくつもある。婦女子モノばかりと想像していたが、男子モノも子どもモノもある。ファッション小物、帽子に靴、リビング(クッションや座椅子)、寝具、果てはファンシー文具まである。その気になれば、部屋をしまラーテイストでトータルコーディネートすることも可能だ。
どの売り場を見ても、ある種のセンスが漂う品揃え・陳列に感心。衝動的に3点500円のブリーフを握りしめ、さらにその横のジーンズ売り場でハマってしまった。何だか陳列が変なのだ。サイズ別でもテイスト別でも気まぐれでもない、陳列量・スタイル・サイズが計算されたトレジャーハンティング陳列とも言えるのだろうか。いつの間にかあれこれ探して試着もしてしまった、ふう。
“宝探しの演出”の匂いはあるが、それは決して鼻につく匂いではない。なぜなら、みんな1890円とか2980円なので「良心的だなあ」と思ってしまうからだ。陳列量を絞り、PBとNB(らしきもの)を巧みに配して、探させ比べさせて買わせる。それがどの“ハンガー”にも浸透している。
しまむらは完全買取・自社物流網の運営で名高いが、それを支えるのがハンガー単位の単品管理。入荷・返品・交換はハンガーにかけたまま行う。全国の店舗間で、適切な店に適切な商品を1品単位で融通しあう仕組みだ。売れ筋を見切るのが、販売数値分析と“主婦パートの目”と言われる。トータルファッションをたかだか300坪でやってしまう生活者目線がすごい。
でも中には絶句するアイテムもある。ある都会育ちの女性が、地方都市で初めてしまむらに入り、手袋を買おうとした。あれこれ見て「これかな」と手にしたら、手袋の甲に“ドクロ柄”があったのだという。さすがに買えなくて、靴下を買ったとか。これ、誰とは書けないが、Business Media 誠の編集長さんの話(あ、書いちゃった)。私もドクロのジーンズには手が出せませんでした。
2つの“センターGUY”を結ぶ点と線
しまむらの躍進の理由は、ほかにもある。それはタレントの益若つばささん。TV番組『情熱大陸』で、彼女がしまむらで買い物をする姿が放映された。自身のブログでもしまラーなコーディネイトぶりを公にして、共感・好感が広がった。「しまむらでコーデするのは正しい!」というイメージがパッとちまたに広がり、安くてお得でトレンディなアイテムの聖地となった。
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