【ぶれない仕事観シリーズ】 生きる上でも働く上でも、「競争」から逃れることはできない。その競争をポジティブに展開するか、それともネガティブに巻き込まれるか―――この点が問題だ
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私はかねてから次のように考えています――――
ゴッホとゴーギャンは競争したわけではない。
ピカソとマチスも競争したわけではない。
彼らはただ、たくましく競創し、おおいに共創しただけだ、と。
さて、
「キョウソウ」について考えてみると、次の四つのパターンが見えてきます。
1【競争】
いまや世の中の多くのことが「競争」原理で動いています。学校もビジネスも社会も。
なぜなら、競争というシステムには、互いの成長・前進を刺激し、
怠惰や馴れ合いを防ぐというはたらきがあるからです。
けれども、競争には悪い面もあります。
競争はたいてい、数値化した評価で優劣や勝ち負けを判定するので、
高い数値の獲得のみがいつしか目的化されるおそれがあります。
特にビジネスは、利益(お金)という数値の奪い合い競争ですから、
人間の金銭欲が前面に出て、ビジネス本来の意義や目的が見失われることが容易に起こりえます。
私たちは競争を容認しつつも、目的のはずれた競争には
翻弄されないように注意しないといけません。
2【狂走】
競争が過激になると「狂走」になります。
バブル経済が膨らむ過程などはその典型です。
「みんなが投機で儲けてるんだから、自分もやらなきゃ損!」という心理が万人に広まり、
株や不動産は実体価値を離れて値が高騰しはじめます。
「上がるから買う、買うから上がる」という狂走回路ができあがるわけです。
・・・狂走の行く末はいつも破たんです。
狂走を無意味なチキンレースだと見破り、狂走には参加しない意思と賢明さを持つべきです。
3【競創】
競い合うことは悪ではありません。
競うなら互いの創造性を競おうという意識を持つことです。つまり「競創」です。
競創においては、数値による優劣の評価や勝ち負けなどは関係ありません。
ゴッホとゴーギャン、ピカソとマチスは同時代の芸術家として、
おおいに競創したわけですが、彼らは、
互いの独自性や芸術性を刺激し合い、リスペクトし合っただけで、
蹴落とし合ったり、何か評判・得点で勝ち負けをつけようとしたわけではありません。
4【共創】
ゴッホとゴーギャンは競創関係にありながら、同時に、「共創」もしていました。
二人は共に後期印象派の流れを創造したのです。
共創とは、タレントを持った個人同士が一緒になり、
個人の枠を超えた何かを創造することをいいます。
私たちは、個人においても組織においても、「競争」を是としながら、
それを「狂走」回路に変質させていかない、
できるだけ「競創」や「共創」回路に開いていくことが大事な観点だと思います。
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キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。