「年金は31年に破綻」マイナス1%成長で厚労省試算。ちょっとショッキングな見出しの記事をオンライン版の読売新聞で見かけた。ちょうど読んでいる本にも同じような指摘があった。年金は本当に破綻するのだろうか。
ましてや、これから自分で年金を払うようになる世代の人たちが、これまでのように(筆者もその一人だが)きちんきちんと年金を納めてくれるのだろうか。ただでさえ年金をまじめに払う人が減ってきているわけで、そこにこうした年金制度破綻リスクが広まれば年金崩壊は加速度的に早まりはしないか。
なぜ、いま「年金破綻予測」がリリースされたのか
ここから先は筆者の勝手な推測に過ぎない。が、深読みすると、どうなるか。役人さんたちは、我が身に責任が及ぶことを極度に畏れる人種である。ましてや厚生労働省などは、これからの日本の人口推移は熟知しているはずだ。当然2030年に年金制度が極めて重大な局面を迎えることなどはなから承知だろう。
あるいは、すでに年金制度の維持など不可能に近い(もっとシビアにいうなら不可能だ)と考えてもいるはずだ。年金を納める人が減るトレンドはほぼ確定的、年金支給対象者が2030年からぐんと増えることはしつこいようだが完全に確定している(新型インフルエンザによる影響はありうる)。そして運用に関しても利回りがよくなることは、あまり考えられない。
のだから、このインフルエンザ騒ぎのどさくさにまぎれて「ほら、ちゃんと20年前からアナウンスを出していたじゃないですか」という言い逃れをしようと考えているのではないか。もしかしたら、あまり考えたくないことではあるが、巨額の年金に巨額の運用ロスが出ていることだって十分にあり得る話なのだから。
※参考書籍
『不透明な時代を見抜く「統計思考力」』神永正博/ディスカヴァー・トゥエンティワン
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