音楽配信事業とよく似た構造を持つ市場でありながら、なかなか普及が進まない電子書籍事業。普及するためには何が大事なのか。電子書籍の妥当な価格や望ましい端末の姿、ファイル形式を検討し、電子書籍の未来を考える。 [森田徹,Business Media 誠]
しかし紙書籍の所有感や使用感は捨てがたいし、価格が低い電子書籍の登場で供給量が増えるという面もあるため、現在と全く同じ費用構造・販売戦略になるとは考えにくい。恐らくは、コミックやライトノベルの電子書籍を200円程度に単価設定して販売冊数をかせいで、専門書の電子書籍価格は据え置きといった感じになるのではないか。少年向けコミックの新作が250円、準新作が150~200円、旧作が100円、“オタク向け”と呼ばれるややディテールの深い作品はこれに50円~100円上積みするくらい。小説の新作が700円、旧作(文庫本相当)が300円、簡単なマニュアル実用書が700円で専門系の入門書が2500円……といったところだろうか。これならば紙の所有感を捨ててでも、とりあえず電子書籍で読んで、気に入ったら紙書籍をAmazonで買うというスタイルが定着しても感覚的には違和感を覚えない。
~電子書籍はキャズムを超えられるか?――iPodに学ぶ普及への道(2)につづく~
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
電子書籍はキャズムを超えられるか?――iPodに学ぶ普及への道
2009.04.09
2009.04.07