ユーザー事業者数30万超。約90万種類もの商品を扱い間接資材のAmazonともいえる存在がMonotaRO、流通の仕組みが遅れた分野にネットで風穴を空けた革命児である。ただし革命には旧態勢力からの抵抗が付きもの。数々の試練に打ち勝ち、上場に到った同社の歩みを紹介する。
いまMonotaROは間接資材のAmazonと呼ばれる。そのAmazonがビジネスをスタートしたのが1995年のことだ。初めてAmazonに触れたとき瀬戸氏は、どんな印象を持ったのだろうか。
「人に教えてもらって、こりゃおもしろいって注文してみたんです。ところが届くまで意外に時間がかかった。そんなに便利じゃないなというのが第一印象でした」
ただAmazonの本質だけはいち早く見抜いていた。言葉にするなら『流通の先祖帰り』である。
「流通って基本的には品揃えが命なんです。そもそも何のために流通が存在するかといえば、人々の生活を豊かにするためでしょう。選択肢がいろいろあって自分にぴったりなモノを見つけられるから、暮らしは豊かに彩られるわけです。そのための機能を提供するのが流通ですから」
ところが、経済が発達するにつれ、ある時点から流通は変質し始める。経済性、効率性を追求すれば、品揃えはどうしても売れ筋商品中心となっていかざるをえない。ここに顔を出してくるのが売り手の論理である。
「もっともシンボリックな例がウォルマートでしょうね。店舗がすっごく大きくて売り場も広い。けれどもたとえば音楽のコーナーがどうなっているか。同じ歌手の同じCDがずら?っと並んでる。買い手には選択の余地なしというわけです」
売れ筋商品を大量に仕入れることでボリュームディスカウントを強烈に効かせる。確かに価格は安く抑えられるが、消費者の選択肢は極めて限られてしまう。果たしてそれが生活を豊かにするのか。これが瀬戸社長の根本的な問題意識なのだ。だからAmazonに初めて接したとき、そのすごさを直観的に理解できたのだろう。
「70年代、80年代って結局は売り手が売る商品を決めるようになった時代なんです。一方的に傾きかけた流れを根こそぎひっくり返すような動きをしたのがAmazonだったわけです。これは革命的だと思いましたね」
Amazonの革新性は、いうまでもなくネット通販を始めたことにある。では、ネット通販は何がすごかったのだろうか。
「たとえばリアルな本屋なら、店の広さが在庫の制約条件となるわけです。ところがネット上に本を情報として在庫するなら、事実上在庫スペースは無限。これってとんでもないことですよ」
Amazonモデルを活かしたビジネスを自分でも展開したい。そんな思いを抱いて留学を終えた瀬戸氏を待っていたのはしかし、非情な社命だった。
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FMO第21弾【株式会社MonotaRO】
2009.03.17
2009.03.10
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2009.02.25