カクヤス、業務用酒販店ナンバーワンへの奇跡の道のり 第4回

2009.02.24

開発秘話

カクヤス、業務用酒販店ナンバーワンへの奇跡の道のり 第4回

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

わずか3年で約100店を新規出店。23区内「どこへでも」配達を実現するためにカクヤスが採った拡大戦略だ。しかし、結果はぼろぼろ。全店の半数以上が赤字となった。崖から転げ落ちかけた同社を救ったのが、Amazon、アスクルに並ぶ『カクヤス・モデル』である。

■1日1万軒の顧客接点

一方で無茶をして23区内『どこへでも』を実現した効果もじわじわとではあるが確実に出始めていた。

「23区どこへでもができるようになってからは、一ヶ月あたりの新規顧客獲得数が以前の倍、8000軒ぐらいに急増していました。ということは年間ベースなら10万軒でしょう。都内23区の総世帯数が約420万だから、これは結構凄い数字ですよね」

いまカクヤスは一日平均で、1万軒のお客様にお届けをしているという。その平均単価は5000円を超える。しかも、新規顧客数はいまだに増え続けている。その流通インパクトは想像を絶する破壊力がある。

「我々は毎日、実に1万軒ものお客様と接しているわけです。しかも接点は注文をいただくときと配達に伺った時の2回もある。誰もがのどから手が出るほど欲しがっている顧客接点を活かさない手はないでしょう」

カクヤスは顧客接点のプラットフォーム企業となり得るわけだ。これを活用すれば、酒以外のモノだって流通させることができるだろう。あるいはお届けできるのはモノだけに限らない。

「情報もありでしょうね。そこで何をやるのかが、これからの課題なんですが」

ベースとなるインフラが固まり新たな展望が見えてきた佐藤社長にとって、いま最大の懸案事項はパブリックカンパニーへの進化である。

「ようやく売上で660億円、社員数900名ぐらいの規模まで来たんだけれど、まだまだ私企業としてしか見てもらえない。だから、何をやるにも社長の個人保証が求められる。こんな状態では、優秀な人材が見つかっても引き継げませんよ」

ビジネスモデルは確固としたものを作り上げた。BtoBを成長ドライブとするBtoC展開は『カクヤスモデル』といわれ、Amazonモデル、アスクルモデルに匹敵する宅配モデルとして高く評価されている。営業マンのマンパワーをかけて飲食店を開拓し、同時に商圏内の家庭を宅配でカバーするお届けモデルは、まさに唯一無二といっていいだろう。

「いつの間にかでき上がっていたって感じなんですが、我々のビジネスって意外に受注から配送までのスムーズな連携システムが肝だったりするんですよ。ここでロスを徹底的に削ったシステムにブラッシュアップすることが利益につながっている。我々のノウハウですね」

佐藤社長の目にはいま、あらたなカクヤスの将来像も見えている。全国で二番目に外食比率の高いエリア、大阪への進出もすでに果たした。最終的には全国で『どこへでも』モデルを目指す気はないのだろうか。

次のページ顧客のためのバリアフリー戦略

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