コンビニの「闇」の中身とその先を考える。

2009.02.22

営業・マーケティング

コンビニの「闇」の中身とその先を考える。

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

2009年2月20日の朝日新聞・朝刊。第1面で「セブンイレブン,加盟店の値引きを制限か公取委が調査」と報道した。 FCに加盟しロイヤリティー契約が基本となるコンビニ業界において、その収益の仕組みには、たくさんの「闇」があると言われてきた。

では、何故、本部だけが儲かる仕組みなのに、
コンビニーオーナーは、売れ残りが出るような発注をしちゃうのか・・・。

それは、店舗経営者になって考えてもらいたい。
①天候や突発的イベントなど、的確な量の推移は、現実的に困難。
②品切れの場合の機会損失は、気持ち的にも痛手。
③棚に商品が並んでないお店は、そっぽを向かれる。
永続的な売上げのことを考えたら・・・1日、1万円くらいの発注オーバーは、仕方ない。
一度、オーバー発注を止めたら、悪いスパイラルに入りそうな気分になる店舗経営者の痛いところを突かれていたというわけだ。

しかし、最近は、コンビニFC加盟店の一部オーナーが弁当などファストフードの賞味期限が来た売れ残りを「1円廃棄」という手法で処理をしていて、本部が大慌てしているという謀反の動きもあるようだ。

実は、この仕組みについては、2005年2月24日、東京高裁は加盟店側の言い分を認め、セブンイレブン側に約2,243万円の支払いを命じる判決を下している(上告審が進行中)らしいのだ。マスコミの報道で、見たこともなかった。朝日・読売・毎日はこれを完全に無視だったようだ。発行部数が少ない専門紙『日経MJ』において、判決から1ヶ月以上も経た3月28日付で「セブン、加盟店に敗訴『廃棄ロスにロイヤルティー』東京高裁判決」との記事をやっと載せただけだったようだ。
エコ意識が高まる。「もったいない運動」も活発になる。その時流の中で、このコンビニの動きの完全逆流は、マスコミの恰好の材料になってもいいところだが・・・せいぜいネット内での反論に留まっていた。マスコミの自主規制のなせる業だ。

しかし、今回・・・「廃棄ロスチャージ」の闇が、明るみになった。法的な結論は出ているようなので、仕組みの見直しが迫られるだろう。
コンビニの店舗数は、全国で約4万店。
年間売上は、約6.6兆円。
その売上のうち食品類の割合は、75%。
お弁当の年間売上は、約1兆円。
1店舗での1日の弁当の販売数は、約130個。
そして、全国での年間廃棄量は、約2000億円分。
この大きな市場とそま仕組みへのメスは、日本の流通の仕組みを考え直すのに、大きな機転になるはずだ。
「一部負担の解決柵は粗利益分配方式の理念とも一致する。粗利益分配方式の基本理念は利益を共有することである。粗利益分配方式によって利益を共有するならば、その利益を生み出す過程で発生するリスクも共有するのが当然だろう。利益とリスクの共有,それが一体となってはじめて真の共存共栄が達成できるのである」(金顕哲著『コンビニエンス・ストア業態の革新』)

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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