電子書籍端末「キンドル2」からチラつくアマゾンの凄味

2009.02.13

営業・マーケティング

電子書籍端末「キンドル2」からチラつくアマゾンの凄味

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

アマゾン・ドット・コムが9日、同社が07年に発売した電子書籍端末の後継機を発表した。「Kindle(キンドル)2」。音声による朗読機能など、いくつかの新機能が搭載されたが米国のアナリストの評価は今ひとつの感だ。しかし、端末の評価よりも、アマゾンが電子書籍ビジネスに対して、一つギヤを上げて急加速させようとしている点に注目したい。そこには同社でしかできない戦略が隠れているのだと。

導入期は製品の認知を高めるのが基本戦略だが、成長期ではシェアをいかに確保するかがキモとなる。アマゾンは製品戦略としては、製品仕様の向上を図った。プロモーション戦略の売り物は人気作家による専用のコンテンツだろう。マーケティングミックスの4Pで考えれば、チャネル戦略は自社そのものであるが、さらに配信に力を入れるだろう。となれば、残るは価格戦略だ。キンドル2の価格は359ドル。決して安い価格ではない。しかし、さらにシェアを早期に確保しようと考えた場合は、低価格戦略でシェアを早期確保するという「ペネトレーション戦略」に転換するだろう。10年にベンチャー企業が参入してくる時には、キンドル2の廉価版をぶつけてくるかもしれない。

日本と全く市場背景が異なる環境にあるため、今ひとつリアリティーを持って受け止められないニュースであるが、このように考えていくと、電子書籍をめぐる戦いは、アマゾンが、アマゾンしかできない戦い方で大胆にリードしていくように感じられる。
圧倒的なリーダーの戦略に対し、チャレンジャーであるソニーやベンチャー企業の戦い方も、今後どうなっていくのか気になるところだ。海の向こうの戦いにも、今後注目していきたい。

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