猛烈な漫才ブームが起きた時期のこと、覚えてますか。 1980年代前半でしたよね。 あの頃、ブームの中心にいた人気漫才コンビのうち、 もっとも異彩を放っていたのが、 「紳助・竜介」 でした。
このコンビは、1985年に解散。
島田紳助は、
現在もマルチタレントとして活躍してることは説明不要ですね。
一方、松本竜介は、
2006年4月に若くしてこの世を去っています。
さて今回は、「紳助・竜介」が売れた秘密をお教えしましょう。
それは、紳助の優れた
「マーケティング的発想」
によるものです。
もちろん、彼がマーケティング理論を
わざわざ勉強したわけじゃないと思います。
紳助は、ビジネスの本質を見抜く力を持った
「天性のマーケター」
だったのです。
紳助の基本戦略、それは
「負けるけんかはしない」
ことです。
これは、言い換えると
「(同じ土俵で)戦わない」
こと。
当時、紳助は、漫才では、
オール阪神・巨人の才能には勝てないと
気づいていました。
また、芸人として生まれつきの才能を持つ
明石家さんまにも、やはり逆立ちしても勝てない。
だから自分たちは
「ヒール」(悪役)
というポジションで勝負しようと考えたのです。
つまり、他の漫才師と異なる
「ブランドポジショニング」
を明確に設定したのですね。
だから、舞台の上ではスーツを着るのが常識だったにも
関わらず、「紳助・竜介」はあえて「つなぎ」を着て
ヤンキー漫才を繰り広げた。
先輩や劇場支配人から、
「なんやその格好は!」
と怒鳴られても、つなぎを脱がなかったのは、
ダテではなく、上記のような明確な戦略に基づくもの
だったからです。
また、漫才は
「子供からお年寄りまで万人を楽しませるもの」
という考えも、紳助は捨てました。
「自分たちが笑かす相手は、20-35歳の男性」
と、ターゲットセグメントも明確にしていたのです。
同年代の男性を笑わせるのが一番やりやすかったからです。
(結果的には幅広い人気を集めましたが)
彼らも段々売れるようになってくると、
劇場には若い女性のファンが増えてきました。
しかし、自分たちのターゲットではない
「若い女性」に迎合することは決してしませんでした。
そうすると、本来のターゲットが離れていくことが
わかっていたからです。
さて、紳助独自の「マーケティング理論」の圧巻は、
「XとYの法則」
です。
Xとは、自分たちのお笑いのスタイル、個性、強みのこと。
Yとは、お笑いのトレンドです。
紳助は、お笑いの世界で「売れる」ためには、
まず、自分たちのスタイル(強み)を理解すると同時に、
・今受けているお笑いのスタイルはどんなものか、
・また、今後受けるだろう新しいスタイルはどんなものか
を把握する必要があると考えていたのです。
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2007.07.11
2008.01.22
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。