ありそうでなかったのが公共サービスでのネット活用。法や規制があるため自由競争のメカニズムが働きにくい分野で、あえて勝負を賭けるのがヨセミテだ。旅行者のための画期的なサービスサイト『フォートラベル』を立ち上げ、新たなステップに踏み出す津田全泰社長のビジョンに迫る。
単純なコミュニティサイトではない。SNSとも違う。闘病者とその支援者のために考え抜かれていながら、それだけにとどまるわけでもない。ビジネスを成立させるためには、価値を認めて対価を支払ってくれる相手が必要だ。
「僕たちは特化型の行動支援プラットフォームと呼んでいるのですが、とにかくユーザーにとって使いやすいシステムありきなんです。これができれば自然に情報が集まってくる。情報がある程度集積されて初めてビジネスが成立すると考えていて、蓄積された情報を再利用したり、業界にフィードバックすることが価値になるんですね」
消費者の声を集めるだけでは、業界を変えるには不十分なのだ。集まった声をサプライヤーにぶつけることによって、業界は変わる。その原動力となるダイナミズムをどう創り出し、いかにコントロールして行くのか。実践に裏付けられたノウハウを持っているのがヨセミテの強みだ。
「ビジネスモデル自体は、サプライヤーのマーケティング支援だと考えています。あえて広告、販促と絞り込んだ言葉を使わないのは、もっと幅広い活動を考えているから。たとえば患者さんの要望を伝えることも、結果的にはサプライヤー支援になりますから」
片側でユーザーからの強固な支持と情報集積があれば、具体的なサプライヤー支援策はいくらでも考えられる。たとえば薬の形態一つについても、錠剤が飲みやすいかどうかは年齢によって異なり高齢者は粉末の方がいい、といったユーザーの生の声に基づく情報を提供できるはずだ。こうした情報はサプライヤーにとって極めて貴重である。
「製品開発のグループインタビューを請け負ったり、薬に関するリサーチもできますよね。ただし、すべてのベースは徹底的にユーザーの支持を得ることにある。だから『あなたたちは、最終的にはどっちの味方なの?』と突き詰められたときには、迷わずユーザーですって言いたい」
ここがヨセミテが21世紀型の企業であるポイントではないだろうか。では、そのヨセミテとは、一体どんな企業なのだろうか。
▲代表 津田全泰氏(右)と副社長 塚田寛一氏(左)
⇒次回「ヨセミテはでっかい机である」へ続く(全四回)
◇インタビュー:竹林篤実/川村真理 ◇構成:竹林篤実
◇フォトグラファー:村山裕章 ◇撮影協力:㈱オンボード
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FMO第19弾【株式会社ヨセミテ】
2009.02.03
2009.01.27
2009.01.20
2009.01.13