ポジショニングは、ターゲット顧客のアタマの中にいかに明確に自社の商品、もしくはブランドの魅力が明確に描き出せるか。競合と比べていかに優位に見えるようにするかという点が勝負のポイントだ。その魅力の明確化や競合優位性を表すために、マーケティングのフレームワークである「ポジショニングマップ」が用いられる。 しかし、当然ながらポジショニングとは、ポジショニングマップを描くことが目的ではない。
特に企画を練るときには、ポジショニングマップを用いるのは有用である。商品開発や広告宣伝物の制作などの際に、上司やクライアント、社内外へのスタッフ一同への説明と合意形成には大いに活躍する。
自社が打ち出したい魅力を二本の軸で表し、四つの象限で説明するポジショニングマップ。
例えば、自社の商品が「価格が安い」にもかかわらず、「多機能」である、というような魅力を打ち出したい場合、X軸を価格の高←→低、Y軸を機能の多←→少とするマップを作れば、「安くて多機能」という象限に位置することが非常にわかりやすくなる。
もちろん、このマップが顧客向けの商品パンフレットや広告で説明的に掲載されることはありえない。ありえないのだが、得てしてマーケティング企画を考えているときなど、つい、ポジショニングマップを描いて安心してしまうことがある。
ポジショニングマップに重要なこと。それは、そこで終わることなく、その意味するところがターゲット顧客にとって、「本当に魅力的なポジショニングを表す言葉まで昇華されていること」なのだ。
例えば、BMWのポジショニングを表す言葉は、「地上最強のドライビングマシン(日本語訳)」である。
これは世界共通のポジショニングを表す言葉で、それを元に日本では、広告にロゴマークと常にセットで表現されている、「駆け抜ける喜び」という名コピーとなっている。これほど一言で分かりやすいポジショニングはないだろう。
「移動手段としての車」とは一線を画す、明確な「(スポーツ)ドライビングを目的とした車(マシン)」なのであるというポジションの示し方。
そして、コピーではそのマシンを手に入れれば、単に「車で走る」だけではなく、走るという行為が「駆け抜ける喜び」をもたらしてくれるという約束を語っている。
さて、実はここまでが第一段階。
マップをつくる。フレームワークを完成させて安心するのではなく、真にターゲット顧客に魅力が伝わるコトバまで、コピーの手前まで落とし込め」というのが今回の筆者からのメッセージの第一だ。実践的なマーケティング現場では欠かせないのである。
しかし、コトバではないが、的確に伝わる雰囲気、もしくは言い方を変えれば「世界観」を伝えるというポジショニングの示し方もある。
以下の2つのCMをご覧いただきたい。
富士急ハイランド 「ええじゃないか桃太郎編」(CM動画をご覧ください)
http://www.fujiq.jp/cm/cm.html
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2009.01.13
2009.06.18
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。