多くの企業が苦戦する自社ブランドの確立。プロモーションやパブリシティなど伝える活動にに重きを置きがちではないだろうか。 しかし、「真のブランド」を確立するためには2つの絶対的要素を抑える必要がある。 本レポートでは、そのポイントについて実際の事例を踏まえながら、解説していく。
■ブランド確立のジレンマ
特にコンシューマー向けビジネスを展開している企業では、「自社のブランド力を確固たるものにすること」が課題となっているケースが多々あります。
とは言いながらも、具体的な打ち手として効果のある方策を実施できている企業は多くないというのが私の実感です。
「消費者調査を実施してみたところ、ブランド名の浸透度合いが弱いのでプロモーションを強化することが課題です。」
「ブランドイメージを高めることが必要なので、アンテナショップを作りたいと思いますが、立地はどこが良いでしょうか?」
実行段階で何とか効果を出したいと考えている現場の方々からは、様々な意見や質問が出てきます。やはり課題は都度出てくるものなので、それを都度解決していくことも重要だということは理解できるのですが、いつも気になるのは「真の意味で求める効果を得るために、より包括的に課題を捉えなおすことも大切なのではないか?」ということです。
ブランド確立に向けた第一ステップとして、以下の質問に答えられるか否かは非常に重要です。
「自社のお客さまは誰ですか?」
→【コアターゲット】
「そのお客さまに対して約束すべきことは何ですか?」
→【バリュープロポジション】
ただ、お客さまと接するような現場に近づいていけばいくほど、「うちの商品は全ての方に使っていただけるモノですから、ターゲットを絞るといった考え方は向いてないと思うんですが……」と答える方々が多くなるのが実態です。
■目指すべきブランド像
それでは、好事例に出てくる企業を参考にしてみましょう。
皆さんよくご存知のナイキは、コアターゲットを“トップアスリート”と定義し、そのトップアスリートに対して、“彼らが持つ力を最大限発揮できる製品を提供すること”を約束しているのだと思われます。
そのブランド戦略を確立してからは、あらゆるスポーツのトッププロと専属契約し、共同で商品開発を進めるといった手法を展開するとともにそれをプロモーション告知するというアクションを徹底しています。
しかしながらナイキを購入するユーザーは、例えばゴルフであれば私のような100を切れるかどうかというアマチュアゴルファーまで、裾野は広がっています。
つまり、トッププロが使用しているブランドの商品を使ってみたいと思う一般ユーザーをも結果として取り込めている事実がここにはあります。
もうひとつの事例であるサウスウエスト航空は、コアターゲットを“ビジネスマン”と定義し、“ビジネスマンに対して、(発着)時間を守ることおよび低価格”を約束している航空会社です。
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