iPhoneはケータイのビジネスモデルを変え、プログラマーの生き方までを変えつつある。そして来年にはgPhoneが日本に上陸する。iPhone、gPhoneは従来のケータイとどこが決定的に違うのだろうか。
これとまったく同じ構図がiPhoneユーザーとアップストアの間にも当てはまる。つまりAppleはアップストアを通じてiPhoneユーザーをより強固に囲い込むことになる。
もちろんこうした囲い込みは、たとえばドコモがドコモユーザーに、あるいはauもアウ族に対して同じようにやっていた。各キャリアはそれぞれ自社ユーザーに自社だけの便利なサービス提供を競っている。ただしユーザーには、機種を選ぶ以外ほとんど選択権はない。確かにゲームやいくつかのアプリケーションを追加できるんだけれど、アップストアの簡単さに比べると、めちゃ面倒である。
これに対してAppleのやり方はいかにもスマートである。なぜなら、さまざまな追加ソフトは、あくまでもユーザーが自分の意志で購入するのだ。もちろん何も追加しなくともiPhoneは十分に使える。でも、次から次へと新しいソフトが出てくれば、気になるのは人情だろう。それをワンクリックでしかも極めて安価に買えるのなら、ついつい『買って(=自分の意志で)』しまう。このユーザーイニシアティブがミソである。
プログラマーに新しい生き方を
アップストアにはもう一つ、革命的な役割がある。アップストアで販売されているソフトは、誰が作ったものなのか。Appleが自社の開発者に作らせたもの、ではない。
ソフトの提供者は、世界中のプログラマーである。もちろんどんなソフトでも無条件に販売できるわけではない。販売されるのは、Appleの厳格な審査をパスしたものだけである。ということは能力のあるプログラマーにとっては、自分の作品を発表する格好の場ができたことになる。
これも似たような仕組みが確かにこれまでにもあった。パソコンのシェアウェアがそうだ。が、アップストアは世界中のプログラマーが、世界中のユーザーを相手に(言語の問題をクリアすれば=英語であれば)自作を売ることができる。そのためのプロモーションとデバイス販売はAppleがせっせとやってくれるのだ。
その結果、何が起こっているか。「一人で作ったiPhone向けゲームが大当たりして、二ヶ月で数千万円規模の利益が出たので、仕事を辞めてソフト開発に専念(日経産業新聞2008年12月8日3面)」といったケースが出ている。
クリエイターオリエンテッドでもあるスティーブ・ジョブズにとっては、ユーザーの囲い込みよりも、もしかしたらこちらの方が本当の狙いだったのかもしれない。力のあるプログラマがアップストアを使えば世界を相手にビジネスできるようになったのだ。
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