昨日、金森氏が『過激な「引き算」が進行するノートPC市場』を書かれた。その10ドルPCを開発しているインドでは、28万円の自動車が話題になった。こうした流れからはどんな未来が見えるだろうか。
タタモータース『Nano』28万円
軽自動車とはいえ、1台28万円。日本の相場からするとざっと4分の1ぐらいのレベルにある。そんなクルマが本当にできた。インドの自動車メーカー・タタモータースが開発した超低価格車Nanoである。
このクルマは排気量623cc・30馬力で5人乗り、ミッションは4速マニュアルである。もちろん最も安いタイプにはエアコンはついていない。ドアミラーも運転席側しかない。ミニマリズムの極地みたいなクルマだが、それでも本来自動車に求められる機能は十分に果たしている。その機能とは、改めて言うまでもなく「移動」である。
Nanoと価格にして約4倍になる日本の軽自動車を比べてみると、どこが違うだろうか。日本の軽も、もちろん移動のためのツールである。しかしNanoとの決定的な違いが一つある。それはクルマ本来の機能である「移動」の前に形容詞が付くこと。すなわち「快適な」移動をするためのツールが日本の軽自動車なのだ。そして「快適さ」を手に入れるためのコストが、販売価格にして日本の軽をNanoの4倍に押し上げている一因となっている。
1000円と5万円と20万円と
インドは政府主導で10ドルPCの開発に乗り出しているという。いくらなんでも10ドルは難しいと思うが、高いのが当たり前だったノートPCは今、5万円が売れ筋となっている。台湾メーカーのAsusが出した「Eee PC 」がその先駆けだったと記憶するが、今では台湾メーカーだけでなくH.Pも5万円PCを出してきた。いずれ日本メーカーも追随してくるのではないだろうか。
この超低価格PCが売れている。ということは、当たり前のことだけれど買っている人がいるということだ。じゃ、誰が買っているのだろうか。ほぼ間違いなくビジネスパーソンだろう。なぜなら、5万円PCが果たしている機能は、基本的にビジネスユースで必要とされるものに限られているからだ。
だから5万円PCでテレビを見ることはできないし、恐らくは最新鋭のゲームを楽しむこともできない。もちろん動画編集などあり得ない。がメールをチェックして返事を書いたり、ウェブサイトを見るなら何も問題はない。仕事で必要なスプレッドシートを作ったり、あるいはレポートをまとめたりもできる。それぐらいのことなら何も、超重量級ソフトOfficeをわざわざインストールしなくても、簡単にできる。
確かに少しばかりキーボードが打ちにくかったり、あるいは一つひとつの動作に対するレスポンスにキビキビ感は欠けるかもしれない。それらは『快適に』パソコンを使うことに対してはネガティブ要素とはなるだろう。しかし、ビジネスユースでパソコンに求められる基本的な機能は何も損なわれていない。
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