マズローの欲求階層をベースにして時代を読み解くと?

2008.08.04

仕事術

マズローの欲求階層をベースにして時代を読み解くと?

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

マズローの欲求階層は、欲求を中心に物事を考える枠組みです。この枠組みを使えば、時代の変遷や世代間の価値観のギャップといったことが、それなりの説得力を持って理解できます。今回は、この枠組みを使って、これまでとこれからを読み解いていきましょう。

 今、高齢の方でも、転職なさるのが、当たり前になっていますよね。若いからとか、高齢だからとか、関係はないと思います・・・。

 お分かりだと思いますが、今の時代、人々は会社にしがみついても全然気持ちよくないんですね。

 極論しすぎかもしれませんが、だから、簡単に辞められる。さようなら、とさわやかに。

 話しを元に戻しますと、1981年ぐらいから、1999年ぐらいが、関係性欲求、親和欲求が強い時代ですね。

 お友達と仲良くすることが、すごく気持ちがいい時代です。

 だからこそ、「イジメ」が社会問題としてクローズアップされませんでしたか?

 つい、人との関係性にフォーカスして物事を見てしまう時代です。

 だからこそ、いじめが目に付く。

 学校、会社、コミュニティーへの所属自体の意欲が強い。

 離職率という観点でまた見ると、この時代も、所属自体を手放したくないと思いますので、今の時代とは、やはり違って、そんなに簡単に会社を辞めないですね。

 そして、現在。2000年以降の時代なんですが、承認欲求が強い。認めて欲しいのです。

 認めてくれる環境に自分の身を置きたい。だから、認めてもらえるところを求めて、人は所属コミュニティーを転々としても平気ですよね。

 資格を取る、検定ブームは、こういうふうに考えると、すごく自然ですよね。公的に、第三者が自分のことを認めてくれるから、みんな資格を取る。

 なんで、パン検定やら、京都検定なんて受けるのか?の答えをここに求めてもいいと思います。

 トレンドとしては、承認欲求を中心としたビジネスは今後も成長傾向でしょうね。

 私は好きではないですが、企業向けのISOコンサルタントの仕事は途切れないでしょう。だって、世界的なレベルにある!と自分の会社を認めてくれるんですから。

 「経営○○賞」というのが、みなさん欲しいでしょうね・・・。

 と、見てみると、マズローの欲求階層も、それなりに役立つとは思いませんか?

 時代を見るには、欲求だけでなくて、幼少期の共通体験がもたらす世代の特徴、人生のどの時期なのかという年齢の傾向など、いくつかの視点で複合的に見る必要がありますけどね。

 そういう枠組みを作って消費者の研究をするのも、マーケティング活動には非常に重要で、儲けに直結すると思いますがいかがでしょうか?

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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