相手の行動・行為が自分にとって問題がある場合、相手にそれをやめてもらう必要があります。その際、相手を批判したり、評価するのではなく、相手の行動・行為で、私はこう困っていると伝えることが、問題を解消するための、適切なメッセージです。
前者をYouメッセージ、後者を【Iメッセージ】と言います。
相手の行動・行為を変えるには、この【Iメッセージ】を意識的に使う必要があります。
雑踏の中で足を踏まれ、「どこ見てんだ!」と相手を批判すれば、「なんだと!」と喧嘩になります。
そうではなく、単に「痛い!」と自分は痛かったという【Iメッセージ】を使うだけで、相手も「ごめんなさい」と言いやすくなるはずです。
会社であれば、例えば、部下が用意した会議資料に誤字脱字が多かったといった場合、
「君はミスが多いなあ。たるんでんじゃないか!」
「君は随分いいかげんな性格だな? それとも単にやる気がないのか!」
というような、相手を批判、評価したYouメッセージを使っては、相手は表面的には謝罪したとしても、「うるせー上司だなー」などと心で思い、積極的に改善しようという気にならないでしょう。または、ひどく落ち込んで自信を無くしてしまうかもしれません。
一方、「○○君、今日の資料だけど誤字脱字が多かったから、会議で説明する際、随分戸惑ってしまったよ。せっかくすばらしい内容の資料を作ってくれたんだから、誤字脱字などなければ、もっと説得力が増すし、私も自信をもって会議で我々の見解を提案できるんだ。」と自分は困ってしまったという「Iメッセージ」を伝えることで、相手との関係を悪くせず、相手も「申し訳ないことをした。次は気をつけよう」という気持ちになり、自発的な改善を促すことができます。
ただし、問題が発生するまで、わざわざ待っている必要はありません。
問題がなるべく発生しないよう、予防線を張っておけばいいのです。
例えば、人のパフォーマンスは、環境によって大きく左右されます。
ここでいう環境とは一緒に働く周りの人との関わり合いであり、「雰囲気」です。
雰囲気がよければ、気分もいい状態で「快モード」に入り、人はもっとも能力を発揮します。
となれば、リーダーは、チームの雰囲気(環境)もマネージする必要があります。
チームの雰囲気に悪影響を与える問題が発生する前に、予防線を張っていくことが大切です。
メンバーのマインドや言動をポジティブな方向に統制していくためにも、リーダーとして、「こういう風に仕事をして欲しい。こういうことはして欲しくない」と、予防線の【Iメッセージ】を発信しておくことが効果的です。
この「予防線の【Iメッセージ】」の発信は、新任のリーダーとして、まず最初にすべきことではないかと思います。リーダーの価値基準を示すこのメッセージが、今後そのチームで仕事をする上で、マインド統制の機能を担います。 リーダーの価値基準が見えないと、チームの雰囲気は、場当たり的な不安定な状態になります。また、予防線のメッセージもなく、いきなりリーダーから仕事のやり方やチーム内での言動に対して叱られても、メンバーとしても「いきなり何なんだ~!」と理不尽に感じるかもしれません。
次のページ(Be Responsible)
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2008.07.28
2008.08.06