~夏休みには美術館にいって経営センスを磨こう~ 美は経営に役立ちます。役立つだけではなく、極端に言うと経営とは美そのものかもしれません。日常の生活の中にも美を感じさせるものはたくさんあります。美術鑑賞や音楽鑑賞でも良いと思います。美を感じることで、経営をみる眼を養ってみませんか。
高効率・高収益型の業務運営を誇り、松坂屋にその仕組みを移植し、激戦の小売業界を生き残っていこうという創業300年の大丸。松坂屋との共同持株会社であるJ.フロント リテイリング株式会社の奥田社長は、「経営はアートではなく科学だと」よく話しされるといいます。芸術の持つ独特の世界感は、経営というプラグマティズムの世界には通用しないということなのでしょう。
たしかにその通りだと思います。感覚で経営しようものなら、経営はたちまちあやしくなるでしょう。とくにマーケティングや開発分野に対し、感覚で取り組むとろくな事がないのは理解できます。経営判断には合理性が求められます。経営は科学であるので、数字が重要視されるのは当然のことです。数字とは様々な経営活動をとりまとめた結果です。嘘のつきようがありません。よしんば嘘をついたとしても、どこかに齟齬が生じます。経営活動の結果としての数字は正しいし、いつの時も数字は正直です。
経営の中で数字を最も尊ぶMBA取得に励む方も多いようです。それは大いに結構なことで、キャリアを高めるためにも必要なことです。その証拠に経営者の中でも取得を心がける人も少なくありません。ただこんな言い方をすると見も蓋もありませんが、たとえMBAを取得しても経営眼は磨かれにくいのではないでしょうか。
なぜなら数字で判断するためには、現場の姿を極めてリアルに実感する必要があるからです。現場の姿を想像するとは、簡単なようで実際は相当な困難を伴うものです。数字としての結果が生み出された原因(真因)を探すためには、複雑に絡み合った現場の糸をときほぐしていく必要があります。現場の事を知らなくても戦略を構築することは出来なくはありませんが、現場の意見を取り入れないで作り上げた戦略は、運用できないとさんざんな目に遭うことが多いものです。大抵は放り投げられます。
経営は現場で動いているし、利益を上げています。そして利益を失ってもいます。その大元は何なのかということを探るには、相当な経験が必要とされます。経営が経験の学問と言われる所以でしょう。そういった意味では経営は工学というよりは人文学といって良いものです。情実がひしめき合っている世界です。ある会社で失敗した事例が、ある会社では大成功を呼び起こす要因となる逆もまた真の世界です。
MBA取得者であっても、現場を無視して経営企画を推進できません。踊る大捜査線の青島俊作でなくても、経営は会議室とPCの中だけでは動かないし、PPの中に綺麗にまとまるものではありません。現場の方と語り、現場の実態を見ることが肝心です。
そんなことをいうと魑魅魍魎の蠢く現場は怖いと、尻込みされるかもしれませんが、実は現場で見るべきポイントは案外限られているものです。経営というものは、実は素人が見ても非常にわかりやすいものだと思います。ここに「美」が登場します。
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