企業の人を巡る問題は大きく人材の「質」と「量」の問題に分けられます。これは私の専門とする購買分野だけの問題ではありません。
これらの3点の課題に対して細々ながらアジルでも色々な取り組みを始めています。
教育プログラム作りや、OJTに代替するような「現場学トレーニング」サービスの提供、適切なプログラム作りのための活動、等々。
やはり昨今の調達・購買部門の主要課題である「人材育成」の問題は我々にとっても避けて通る訳にはいかないと思っています。
最後に「量」の問題。
これはかなり重症です。実は私自身は10年以上前に大企業をドロップアウトした立場なのであまり把握していなかったのですが、先日出身企業のOB会があり、そこで再認識しました。
多くの企業(特に製造業)で新規採用を抑制した結果、30代前半から40代前半~中盤までの人員が妙に欠如しているという事実です。
バブル経済以降、日本の労働市場は急速に流動化するとともに、新規採用の抑制や企業の人気不人気等もあり、従来のピラミッド構造がゆがんでいます。
こういう状況下で如何に「質」を高めようともその前提となる「人がいない」ということでは、「質」を高めることはできません。
先の私の出身企業の場合は60才定年制はとっているものの、「もっと働きたい人」を積極的に引き止める方向に動きだしたようです。
我々も日頃、肌身で感じているのが採用の難しさと採用に関するコストの高さです。
業績が苦しくても頑なに新卒採用を安定しておこなう、というある企業の事例を昔雑誌で読んだ覚えがあります。
スリム化をするにしても社員の年齢等の構造はキープするという人材戦略が背景にあったと思います。
今考えてみると、人材の「量」の問題は短期的な収益改善を目指すことがもたらした、大きな「2007年問題」として、その対応が今後の企業の10年間の競争力を決めていく大きな要因になっていくでしょう。
正に日本の経済、産業を取り巻く中長期的な経営課題と言えます。
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2010.03.20
2015.12.13
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。