企業の人を巡る問題は大きく人材の「質」と「量」の問題に分けられます。これは私の専門とする購買分野だけの問題ではありません。
4月にアジルアソシエイツで「購買人材の育成」をテーマにセミナーを開催しました。
元々狭い会場ではありましたが、数日の間に50名を超える方に出席のお申込みをいただき、当日も約50名の方にご参加いただくという盛況なものとなりました。
これは各企業での購買人材の育成が大きな課題になっているということの裏返しであるとも言えます。
購買の人を巡る問題は大きく人材の「質」と「量」の問題に分けられます。
「量」の問題は後ほど取り上げますが、まずは「質」の問題です。
大きな課題は3点あります。
1.そもそも購買部門メンバーのための教育プログラムが整備されていない。もしくはプログラムがあったとしても不十分である。
これはセミナー当日ご出席者の方に問いかけさせていただきましたが、約50名参加の方で「教育プログラムが整備されている」という方はほんの数人という状況で、大多数の企業さんでは教育プログラムすら整備されていないという状況が実態のようです。
企業さんによっては教育プログラムはあるが、不十分である、というご認識を持たれているケースも少なくありません。このようなケースでは、そもそも購買人材に必要なスキルが定義されないまま、単発的な積み上げでプログラム化されているのが問題の中心だと思います。
2.今まではOJT中心で培ってきた所謂現場学的な「ノウハウ」や「立ち回り方」(いろいろ考えてみたのですが、この言葉が一番適切かもしれません)を教える場がなくなってきており、絶対的なスキルが不足しつつある。
これは以前からいくつかのお客さんでも聞く話だったのですが、正に「OJTが崩壊しつつある」状況のようです。
サプライヤ選定の数々の現場、納期遅れの対応の現場、品質トラブルの対応の現場、取引先の経営危機に対する対応の現場、価格値上げ対応の現場、これらの現場経験での有効な「立ち回り方」がOJTで習得できないのであれば、何らかの体験、教育でそれをカバーする必要があるのは至極当然な話です。
3.社外研修プログラムを活用したいのだが適切なプログラムがない(不十分である)。
これは私共も含めての話で耳が痛いのですが、通常は社内講師が中心であるものの、プログラムによっては外部の研修を受けさせたい。ただ受けたい、受けさせたいものの選択肢が不十分であるということで、これもいくつかのお客さんに指摘されました。
現状社外研修プログラムが不十分であるか?ということについては、私はかなりのプログラムが整備されていると思います。しかし、どのプログラムを受けたいか?という点に関して選択肢が限定されるというご意見は尤もだと思います。つまり、テーマや講師、簡単な内容はわかるものの、そのプログラムに参加することで、目的が達成できるかどうかが分かりにくい。というのが正確なところではないかと思います。
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2010.03.20
2015.12.13
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。