タリーズコーヒーが6月19日より初のパフェメニュー「T's Parffle」発売するという。「パフェ」は同社の従来路線からすると、少々異彩のメニューといえるかもしれない。そこに隠された意図とはなんだろうか。
しかし、そこまでの意図があるのかは分からないが、家族連れの取り込みを図ろうとすると、もう一つの強力な勢力の圏内へ領空侵犯を行うことになる。
マクドナルドだ。「メニュー、客層、客単価、どれをとっても違うだろう」という論もあるだろう。確かにその通りなのだが、しかし、マクドナルドは昨年、プレミアムローストコーヒーを投入。今年、アイスコーヒーもプレミアム化している。100円という買いやすさもあって、オリコンの調べではホット、アイスとも「買いたいコーヒー」アンケートで二冠を得ている。また、おなじみの「マックシェイク」や「サンデー」に加え、ソフトクリームを加工した「マックフルーリー」も投入。フローズンメニューの充実を図っている。
低価格ではあるが、本格コーヒーとフローズンメニューの充実という意味では、競合の範疇に入ってくるだろう。
米国においては一足先に、マクドナルドとスターバックスの全面戦争が始まっている。日本でも先述の通り、「買いたいコーヒー調査」の結果が示すように、両社は競合状態に突入している。そこに、スターバックスの得意領域であるフローズンメニューの拡充と、マクドナルドの得意な顧客層である家族需要取り込みで、タリーズがバトルロイヤルに参戦したと考えられないだろうか。
今日の日本経済は、少子高齢化によって、市場のパイは確実に縮小に向かっている。黙っていれば、自社の売り上げ・利益も縮む一方だ。新たな需要が見込めないのであれば、他から取ってくるほかない。
縮む市場において、周辺業態に領空侵犯をして戦いを挑むというケースは今後、各業種でも数多く見られるだろう。このコーヒーとフローズンメニューをめぐるバトルロイヤルの行く末は、その意味からも注目に値すると考えられる。
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2008.07.02
2008.07.08
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。