ダイヤモンドオンラインが報じた、トヨタに関する情報が予想以上のスピードで、ネットで、またリアルのビジネスシーンで伝わっているようだ。筆者は基本的には賛成だが、その主旨が伝播の課程で歪まないよう願っている。
しかし、1枚のまとめが万能でないことも事実である。問題はプレゼンを作るプロセスと、その内容にある。
筆者の最初の会社は大手通信キャリアグループであったが、当時は「全てB4一枚にまとめること」がルールだった。B4というあたり、昔話っぽいが、もしかすると今はA3一枚になっているかもしれない。この一枚というのがなかなかクセ者で、確かに読み手は一覧できるし、プレゼンも短時間で主旨を伝えられる点は前述の通りメリットだ。しかし、そこに要素を押し込む課程でかなりの苦労をし、時間もかかる。うまく詰め込めたとしても、どうしても言葉足らずになってしまうのだ。
冗長なプレゼンや枚数ばかり多い企画書・報告書などの資料は確かに最悪だ。しかし、プレゼンも企画書も、そこから明確なストーリーとメッセージが伝わらなければ意味がない。誰が聞いても、読んでも正しく伝わることが必須条件である。特に資料はプレゼンを聞いていない人が読む場合もある。つまり「一人歩きしてもきちんと読み手に伝わる」かどうかは重要なポイントだ。となれば、パワーポイントで作るのかどうかはともかく、基本はやはり「1シート1メッセージ」となるだろう。
過去に「1シート1メッセージ」での作成術を記した記事があるので参照されたい。(パワーポイントでの作成を例にしている点はご了承いただきたい)。
http://www.insightnow.jp/article/993
トヨタの渡辺社長の発言主旨は、「資料作成の時間や印刷に至るまで、コスト削減できるプロセスや資材はないか徹底して見直せ」ということなのだろう。
前述の通り、社長への短時間でのプレゼンはその言葉通り、「1枚」にまとめた方がいい。しかし、その言葉の主旨ではなく「1枚にまとめる」を金科玉条とは解釈ない方がいい。無理に1枚にまとめるための無駄なプロセス。言葉足らずから起きるミスコミュニケーションで生じる損害などを十分考えるべきなのだ。
資料を作成するということは、何かを「伝える」ということだ。伝わるためには、「ストーリー」と「メッセージ」が最も重要で、資料はそれを正しく伝えるための道具である。プレゼンという行為もまた然り。努々(ゆめゆめ)、「型」を意識しすぎてその主旨を忘れないようにしたい。
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2008.05.27
2008.05.28
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。