「え!1秒で読めるの?」という素直な反応は、知性と教養が邪魔をしてできませんでしたが、上手なタイトルだなあ、と思い買ってみました。著者によると、ビジネスマンが経営的に財務諸表を読めるようになるために書いたそうです。
とりあえず、本の構成としては、財務会計の基本として貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー、管理会計の基本として、固定費と変動費、増し分利益、直接原価計算について解説しています。そして、管理会計の章の最後に、やや違和感がありますが、PPMと付加価値概念の説明をしています。
そして、それぞれを説明する入り口に、目を引くようなテーマが設定されています。
・貸借対照表を見れば外資ファンドに狙われる会社がわかる
・なぜイオンはダイエーを関連会社にし、子会社にしないのか?
・トヨタが無借金経営で無い理由とは?
・なぜ、国の財政は破綻しないのか?
・なぜ、リニアや第二東名はなかなか完成しないのか?
・企業の将来像は未来投資で見える?
・なぜ、「スーパーシート」や「ホワイトプラン」はおいしいのか?
・なぜ、液晶テレビの価格はどんどん下がるのか?
・なぜ、小林製薬ではヒット商品が次々と生まれるのか?
・なぜ、企業業績は良いのに「現金給与総額」は上がらないのか?
羅列してしまいましたが、こんなテーマから、財務会計、管理会計というものを見ていく構成になっています。
こういう構成なので、サマライズは、ちょっとやりにくいのですが、貸借対照表の部分だけ、詳しいサマリーを書くと・・・
ビジネスマンは、簿記から学んで、財務諸表を学ぼうとするが、そういうアプローチで学ぶと退屈で挫折しやすい。別に、どのような仕訳をした結果、財務諸表が出来上がるということは、ほとんどのビジネスマンには必要ない。
むしろ、経営的に財務諸表を見ることがビジネスマンには必要であり、この本ではそういった視点での財務諸表の見方を紹介する。
貸借対照表とは、お金をいかに調達して、運用してどんな結果が出ているのか?を記述している。表の右側が調達、左側が運用の結果である。
そして、もし1秒で財務諸表を見るとしたら、貸借対照表から、「流動比率」を読み取るべきである。
たいていの企業は、借金を返せなくなって潰れる。企業を評価する際に、短期的に資金繰りが厳しくなる、ならない、という視点で見るのがまず第一であるから、貸借対照表で、短期的に返さなくてはならない借金の金額が記してある流動負債の金額と、借金を返す原資となる流動資産を比較する指標である流動比率を見るのである。
貸借対照表とは、いかに調達して、どんな結果が出ているのか?を記しているが、調達には大きく分けて2種類ある。返済しなくてはいけない借金である負債と、株主からの投資を中心とする純資産である。調達金額全体に対して、この返さなくていい純資産の比率を、「自己資本比率」と言い、長期的な安定性の指標として使われる。
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2015.07.17
2009.10.31
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。