ECM - 企業向けコンテンツ管理というキーワードは、ERPやCRMなどと並ぶ"ITに関するコンセプトとそれを実現するための製品群を示す言葉"として、ここ数年で急速に市民権を得たものの一つであると言えます。本稿ではECMを、SOA時代のファイル(情報)管理基盤、と位置づけ、その狙いや求められる機能などについて概説していきたいと思います。
「柔軟なアクセス管理機能」通常のOSレベルの読み書き権限よりも数段細やかな設定ができる製品が多いです。文書ファイル本体に対する読み書き権限とそのファイルの属性への読み書き権限を個別に与えたり、新規ファイルの作成はできるが既存のファイルは編集できないという権限や、逆に既存のファイルの編集はできるが新規ファイルの作成はできないという権限を設定することができます。また、文書毎のステータスに応じてアクセス権限設定を変更するという機能を持つものもあります。
「バージョン管理機能」各文書の過去バージョンを全てリポジトリ上に保存しておく機能です。操作ミス等による作業途中バージョンの散逸を防ぐだけでなく、コンテンツの編集経緯を共有できるというメリットもあります。
「チェックアウト・チェックイン機能」リポジトリ内のコンテンツを編集する際に他のユーザと同時書き込みを行ってしまうリスクを回避するために、あらかじめロックをかける機構です。チェックアウトの処理を実行すると、リポジトリ内の別の場所、もしくはユーザのローカルに「ワーキングコピー」と呼ばれるファイルが生成されます。そのファイルを編集した後でチェックインすることによりリポジトリ内のコンテンツのバージョンが更新されます。チェックアウトされている間、リポジトリ内のコンテンツ本体は編集不可の状態になります。
「独自属性の定義機能」業務上の要請により企業内の文書には様々な付帯情報が割り当てられています。どのような属性情報を持たせるかは文書の種類によって異なるため、多くの製品にユーザが独自に属性情報を定義する機能が備わっています。文書の種類によってアクセス権を変更する、などのコントロールを持たせることもあります。この文書の種別の特定と、管理すべき属性情報の定義は、文書管理やECMの導入プロジェクトの中でも特に重要なステップとなります。
「ワークフロー機能」各ユーザに対して「編集」「レビュー」「承認」などのタスクを依頼し、その流れを管理する機能です。予め定義された業務の流れに従って各タスクが実行されるため業務遂行の精度向上が期待できます。また、各ユーザは自分に割り当てられたタスクの一覧を常に確認できるようになります。専用の所謂ワークフローツールと違い、原則的には社内にある文書全てを同様の業務フローの遡上に載せることができるというのが、文書管理システム(あるいはECM)でワークフローを実現することのメリットであると言われています。
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