思考格差 ――「知的である」という意味

2026.10.13

組織・人材

思考格差 ――「知的である」という意味

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

これからの社会で広がっていく格差は、所得格差でも、学歴格差でも、情報格差でもないのかもしれない。 私は最近、もっと根源的な格差が生まれ始めているように感じている。 思考格差である。

だが、本当に怖い末路は失業ではない

ここで「AIに仕事を奪われる」という話で終わるなら、このテーマはそれほど新しくない。

私がもっと深刻だと思っているのは、その先である。

思考を外部に預け続けた人間は、やがて何を失うのか。

私は、それは自己決定能力ではないかと思う。

何を見るかをアルゴリズムが選ぶ。

何を買うかをレビューとランキングが決める。

どこへ行くかを推薦システムが決める。

どんな仕事が向いているかをAIが判断する。

文章もAIが書く。

意見さえAIに整理してもらう。

一つひとつは、とても便利である。

私自身、その便利さを否定するつもりはない。

問題は、その積み重ねの先にある。

「私は何が好きなのか」

「私は何を大切にしたいのか」

「私は何のために働くのか」

「私はどんな社会を良い社会だと思うのか」

こうした問いまで外部に委ね始めたら、どうなるのだろう。

本人は選択している。

だが、その選択肢自体を誰がつくったのかを知らない。

本人は考えている。

だが、何を考えるべきかという問題設定を誰かから与えられている。

本人は自由だと思っている。

だが、その自由は、用意された選択肢の中を移動しているだけかもしれない。

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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