思考格差 ――「知的である」という意味

2026.10.13

組織・人材

思考格差 ――「知的である」という意味

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

これからの社会で広がっていく格差は、所得格差でも、学歴格差でも、情報格差でもないのかもしれない。 私は最近、もっと根源的な格差が生まれ始めているように感じている。 思考格差である。

日本人は、考える能力が低いわけではない

まず確認しておきたいことがある。

日本人の基礎的な知的能力は、国際的に見ても決して低くない。

OECDの「国際成人力調査2023」によれば、日本の16~65歳の平均得点は、読解力289点、数的思考力291点、適応的問題解決能力276点で、いずれもOECD平均を上回った。読解力の上位レベルに達した成人は25%で、OECD平均14%を大きく上回る。適応的問題解決能力の最上位層も、日本は10%、OECD平均は5%である。

つまり、日本社会の問題を「日本人は頭が悪くなった」という話にしてしまうのは、少なくともデータとは合わない。

むしろ逆なのである。

私たちは、かなり高い能力を持っている。

だからこそ、私は別の問いを持つ。

その高い能力を、私たちは本当に「考えること」に使っているのだろうか。

試験問題を正確に解く能力と、人生の問いをつくる能力は同じではない。与えられた問題を処理する能力と、「そもそもこれは本当に解くべき問題なのか」と問い直す能力も同じではない。

企業の中でも、これはよく起きる。

売上目標が未達なら、「どうすれば目標を達成できるか」を考える。しかし、「この目標設定そのものは正しいのか」「顧客にとって本当に価値があるのか」「この数字を追い続けた先に組織はどうなるのか」までは、なかなか問われない。

優秀な人ほど、与えられた問題を速く解いてしまうことさえある。

だから私は、ここを区別したい。

知能とは、与えられた問題を解く力である。
知性とは、何を問題として扱うべきかまで考える力である。

思考格差とは、この知性の使われ方の差なのである。

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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