AIが協働パートナーとなる時代、人間に残される思考は「コンセプチュアル(概念的)思考」になる。それはつまり──雑多な出来事・情報から本質を抜き出し、概念を形成する。客観的認識にとどまらず、主観的意志(信念・理念)を行動に変える。そのコンセプチュアル思考における5つの基本スキルについて解説する。今回はその4つめ──「精錬」。

私たちはややもすると、物事を二項対立で単純化させ、「さあ、AかBかどっちだ」と二択議論に走りがちです。概念にせよ、製品・サービスにせよ、真にイノベーティブなものは、既存の枠のなかにある「正」と「反」の妥協的組み合わせからは生まれません。二項・二択を超え、枠の外に「合」という第三の新たな答えを求める思考のもとに生まれるものです。
思考ワークチャレンジ ~止揚を起こす眼
では、二項対立のなかで思考を閉じるのではなく、次元を上げて第三の答え創造に思考を開いていくワークに挑戦してみましょう。
【ワーク概要】
下のワークシートを使用。
広く仕事・事業や社会に関わる物事をながめ、何か対立する2つの概念(または要素)を取り上げます。それら2つをその対立を超えて1つのものに統合するとき、どんな新しい概念が生まれ出てくる(高度な次元で止揚される)でしょうか、独自の目線で考え、記入してください。
自分が新たに考える止揚的概念でもいいですし、世の中に起こった事例を探してもよいです。

では、私の主催する「概念工作塾」ではどんな答案が出たか。受講者たちの答えの中からいくつか紹介しましょう。


製品やサービスを開発するうえで技術はとても重要です。しかし、技術のみで真に優位性のある製品・サービスを提供し続けることができるでしょうか。リバースエンジニアリングのように、先行する技術がすぐに解析され、模倣される技術もまた発達している時代なのです。技術はむしろ、ある強力な商品・事業コンセプトのもとに置かれることで輝きを放つ、と考えたほうがよいでしょう。
そんななかで私たちは、ごく一般的な物事のとらえ方、論理秩序、枠組みに依らず、つねに鋭い思考の投げかけを行うというコンセプチュアル能力が求められています。コンセプチュアル思考における「精錬」には下表にあるとおり、そのほかにもいろいろな精錬のやり方があります。これらについては、拙著『コンセプチュアル思考』にくわしく解説をしましたので、発展的に学びたい方はそちらをご覧ください。

AI時代 人間に残される思考は「概念的思考」になる
2026.08.15
2026.08.17
2026.08.24
2026.08.29
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
キャリア・ポートレート コンサルティング代表。組織・人事コンサルタント、概念工作家、『源流の森ブックス』編集発行人。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。
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