「顧客を知り尽くす」とは、その会社の顧客が誰なのか、扱う商材やサービスがどのような価値を提供しているのか、顧客フロントに立つ営業メンバーの力量はどれほどか、そしてその会社の戦略性についてもすべて理解しているということです。
顧客を知り尽くす
私がコンサルとして大切にしていることは、「顧客を知り尽くす」という姿勢です。コンサルタントとして、「クライアント企業を自分以上に深く理解している人間はほかにいない」という覚悟で仕えることが重要なことです。クライアント企業においても望んでいるはずです。
「顧客を知り尽くす」とは、その会社の顧客が誰なのか、扱う商材やサービスがどのような価値を提供しているのか、顧客フロントに立つ営業メンバーの力量はどれほどか、そしてその会社の戦略性についてもすべて理解しているということです。とくに、戦略系コンサルタントは、顧客の売上や損益計算書、PLの主要項目のほとんどすべてを頭の中に入れておかなくてはいけません。それくらいやって初めて、トップライン(売上)を上げるための助言ができます。
また、コンサルタントは、それぞれのジャンル・職種において社内の誰よりも深くその領域を理解していなければなりません。統合報告書作成のサポートをするのであれば、経営企画以上に経営企画の思考を持つべきですし、人事のサポートであれば、その会社の人事制度や働き方、環境変化に対する考え方まで含めて理解している必要があります。そして、どのジャンルであっても、時限立法的にゴールを決めて、一緒にそこまで走り切ること。これが私の考えるコンサルティングのルールです。
優秀なコンサルタントはクライアント企業から、「うちの会社のことを本当によく知っていますね」と評価されます。コンサルタントとして、職務につくのであれば、このような評価を目指すべきです。
外部環境要因を理解する
「顧客を知り尽くす」ことができたら、次にやるべきは、その会社を取り巻く外部環境要因を理解することです。同業他社の分析だけで満足してはいけません。プライム企業であれば、ガバナンスコードへの準拠、ダイバーシティへの対応、ESG投資への姿勢など、当然求められる前提条件があります。こうした要件をすべてクリアして、ようやく上場企業として合格点です。さらに、上場会社として求められる要件に加えて、業界特有の課題、その会社独自のテーマがあり、この三つ巴に取り組む必要があります。ところが、課題解決型のコンサルタントの一部は、ESGや環境問題、ダイバーシティ問題といったワンイシューに特化しがちなケースもあり、それが本当に事業に役立っているのかわかりません。大切なのは、外部環境の変化をどれだけ自社事業に取り込み、PLにまでつなげられるかです。
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長
1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。
フォローして村上 和德の新着記事を受け取る