たった一度の選挙が、あなたの人生を大きく変えることがあります。80年前、ナチスが合法的に政権を握った選挙が、何百万もの人々の運命を変えました。この物語は、私たちがその歴史から学び、今の社会にどう向き合うべきかを問いかけます。現代の日本でも、一票が未来を左右するかもしれない――あなたの声を無視しないでください。
ある日のこと、新しく作ったコンタクトレンズを私の目に装着しようとして苦心していた彼の左の前腕に、少し歪んだ、薄れかけた薄青色のタトゥーがあるのに気づいた。
B7648と読めた。
「ヘンリー、そのタトゥーはどこで?」とわたしは尋ねた。
本書は、そのタトゥーがどのようにして彼の前腕に刻まれることになったかについての物語である。
これは、今から80年近く前、第二次世界大戦で生きて帰ることが不可能と言われたアウシュビッツ、ビルケナウ、ブーヘンヴァルトの強制収容所を奇跡的に生きのびた少年の自伝です。
そして、この物語はわたしたちに「恐怖はいつでも、すぐそばにある」ということを教えてくれる本だったのです。
なぜなら、主人公のヘンリーも少なくとも5歳になるまでには何不自由のないドイツに住むユダヤ人の少年として幸せに暮らしていたのだから。
しかし、たったひとつの「選挙」によって、平穏な暮らしは終わりを告げます。
ドイツ国民が投票をした、たったひとつの「選挙」によって。
それは、1932年ナチスが国会で230議席を獲得、第一政党になり政権を取った選挙でした。
これからたった3年の間に、ヘンリーを取り巻くユダヤ人たちのくらしは一変。
ヘンリーはこう述べています。
世界は前よりもずっと暗く、危険な場所になっていた。
その後、私の人生が元通りになることは二度となかった。
翌年の1933年。ヘンリーが6歳になり小学校に入学したときにはさらに状況は悪化しました。
入学式に行く途中に、ヘンリーはヒトラーユーゲント(ナチスの青少年組織)から襲撃されたのです。
その場には、ヘンリーの両親もそしてヒトラーユーゲントの両親も立ち合わせていましたが、大人でさえも止めることができませんでした。
1935年には、ユダヤ人の家の所有も許されないほど厳しい財産没収だけでなく、3〜4人で集まることやビジネスを禁止するニュンデンベルク法が成立。
ヘンリーの家も財産を没収された上、かろうじて見つけた狭くて古いアパートに親戚と11人でくらすという事態になったのです。
この出来事は、ナチスが第一党になってから、たった2〜3年の出来事だっただけでなく、非合法だったものを合法化していったという恐ろしいものでした。
つまり、なんでもありの世界になってしまったのです。
想像してみてください。
ある夜、あなたの家のドアを激しく叩く音が聞こえます。
「こんな時間に、誰だろう・・・」と恐る恐るドアを開けると、そこには警察官が立っていて、乱暴に全ての物を持ち去ってしまったら。
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2010.03.20
2015.12.13
「感動の先にビジョンがある」を理念として、ビジョンを持って目標を実現する「3ヶ月メソッド」を考案。 33歳で第一子を亡くし逆境から立ち直った経験をもとに、アメブロ、インスタグラム、Facebook等で継続的に発信を行なっている。 人の強みをみつけることを強みとし、イベントやコンテンツ制作のプロデュースなどを得意とする。 ▼アメブロ https://ameblo.jp/moharinayasuko ▼インスタグラム https://www.instagram.com/hanayasuko_1030/ ▼Facebook https://www.facebook.com/nagashima.yasuko