注文した覚えのない荷物が、amazon.comから届く。 何かと思って開けると、 amazon.comオリジナルのコーヒータンブラー。
社長のジェフ・ベゾス氏の手紙が添えられていて、
「日ごろのご愛顧に感謝してこれを贈ります・・・云々」
とある。ロイヤル顧客向けのプレゼントだったのです。
アマゾンが日本に進出する前、
90年代後半にamazon.comをよく利用されていた方は
同じようにプレゼントを受け取られたのではないでしょうか?
コーヒータンブラーは、
スタバのグランデサイズくらいの容器でした。
スタバに持っていけば、
コーヒーを入れてもらえるマイタンブラーです。
今は、もはや持っていないのですが、
当時は、どこでも手に入るものではないだけに
いい気分でコーヒーが飲めたものでした。
よく考えてみると、
アマゾンは黒字化するはるか以前に、
既存顧客維持のための費用もきちんとかけていた
ということです。さすがです。
さて、私たちはこんな嬉しい
「サプライズ」
を求めていますよね。
サプライズは、
予期していなかったことが
起こるからサプライズ。
期待値ゼロだけに、
ちょっとしたことでもうれしい。
心が大きく動く。
顧客維持のためのコミュニケーション施策として
とても効果的なのに、意外にあまり採用されないのが、
こうした「サプライズプレゼント」です。
以下は、槇原敬之デビュー当時の話。
まだ売れる前で、
テレビやラジオには出演させてもらえない頃、
「ダイジェストCD」
を制作したんだそうです。
曲の1番目くらいでフェードアウトして、
次の曲が始まるというスタイルの5曲入り
「お試し版」です。
このダイジェスト版、
当初はレコード店のレジカウンターに置いて
無料で配布しようと考えました。
しかし、タダでもらったものなんか
ロクに聴いてくれないだろうと、
別の方法を採用しました。
『君が笑うとき君の胸が痛まないように』
という長いタイトルのグリーティングカードを作り、
応募した人にはこのカードが送られてくる仕組みです。
ただし、カードと一緒に、
ダイジェスト版を内緒で送ったのです。
つまり「サプライズプレゼント」にしたんですね。
この仕組みは、
マーケティング的に見てとても巧妙です。
「カードあげます」
というだけで応募する人は、
槇原敬之に多少とも興味を持った人でしょう。
こうした優良見込客にだけ、
ダイジェストCDを送付した。
期待していなかったCDが届いて本人は大喜び。
CDを確実に聴いてくれたでしょうし、
彼のファンになった人も多かったのではないでしょうか。
実際、本盤を買ってくれた人も結構いたそうです。
さらに、本盤を買ってくれた人には
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2008.04.25
2008.06.09
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。