今秋、松下電器産業株式会社が社名を「パナソニック株式会社」に変更する。真のグローバル企業を目指す決意の表明だという。よく使われる「グローバル(スタンダード)」とは一体、何なのだろうか。
なぜ、そんなことになるのか。
いわゆる「グローバル・スタンダード」が基本的にアメリカ発の考え
方やシステムのことであり、アメリカにとって都合のよいように仕組
まれていたからではないのだろうか。この数ヶ月、何回も読み返して
いる私にとっての予言の書『21世紀の国富論/原 丈人』には、次
のように書かれている。
>>
しかし今、アメリカが中心を担っている資本主義のシステムは、仕組
みそのものが疲弊し破綻しかけていることに、もっと多くの人が気づ
くべきです。アメリカだけでなく日本でも、年金基金などが多くの資
金をヘッジファンドに投入しています。カネがカネを生む現象を美化
し、夢の実現と錯覚させている。
そこにあるのは、マーケットがすべてを決定し、マーケットにおける
勝ちがすべてという、行き過ぎた市場万能型資本主義に他なりませ
ん。カネをいくら膨らませたかによって価値を比較するスタイルの資
本主義は、多くの問題点を解決できないまま、破綻に向かって突っ
走っているのです。
(原丈人『21世紀の国富論』平凡社、2007年、25ページ)
<<
まさに原氏の予言が当たったのだと思う。
サブプライム問題の本質は、ものすごく単純にいうなら極めて危ない
住宅ローンのババ抜きゲームみたいなものだ。つまりアメリカの低所
得層にもばんばん住宅ローンを組ませて家を買わせる。そもそも彼ら
の返済能力には?がついているのだが、住宅価格が上がっているから
いざとなれば家を取り返せばよい、という考え方が根底にある。しか
も、その住宅ローンそのものを商品化(正確には証券化というべき
か?)して、他の金融機関に売り払い最悪の場合、誰かにババを被せ
る。
その被害者の一つがUBSということなんだろう。
株価至上主義の経営もたしかグローバル・スタンダードだったはず。
あるいは産業のソフト化もグローバル・スタンダードではなかった
か。ウィキペディアの説明に書かれていたように、グローバリズムが
地球を1つの共同体と考える立場から共生を主張する思想であるな
ら、少なくともサブプライムローンのような問題は起こりえない。
今こそ本来のグローバル・スタンダードと、主にアメリカにとって都
合のよいだけのスタンダードを取り違えないように注意すべきではな
いのだろうか。そして日本企業には、少なくとも自らがアジアン・ス
タンダードを創るのだ、ぐらいの気概を求めたい。
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