セルフ・マネジメントとは、自分の思考や行動を管理することですが、ビジネス・パーソンに最終的に求められていることは、適切な成果物を「期間」「予算」「リソース」を守って出すことです。 つまり、どれだけ綿密な計画を立て、計画通りに行動したとしても、結果が出なければ、それはセルフ・マネジメントがうまくいったとは言えないのです。
私たちが求めるのは前述したように、「より良い成果」です。「1か月後に自分で入念に作りこんだ案を提案したものの、賛同を得ることができず、修正も手間取る」よりも「2週間でプロトタイプを提出し、そのさらに2週間後に修正案を提出する」ほうが、「1か月」という期間内で多くの人が賛同する案になっていることは間違いないでしょう。
ドラッカーも『変貌する産業社会』のなかで、「計画がリスクを回避しうると素朴に信じられているが、それほどに危険な妄想もない。計画はリスクを創造し、リスクを引き受ける」と述べ、「古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることが、イノベーションの戦略の一歩」と、古いと判断した段階で、すぐに計画を変更することが重要であると語っています。
また、アイゼンハワー元大統領はスピーチのなかで、「計画それ自体に価値はないが、立案はすべてに勝る」と「計画を立てる」「案をつくる」重要さを説いています。
プロセスを計画する
また、ビジネスの規模が大きくなれば、「プロトタイプ~意見の集約」のプロセスが1回で終わらないことが大半でしょう。というよりも、このプロセスは何度も繰り返すことも少なくありません。
それは私たちの置かれている環境が日々刻々と変化するからです。先月は正しいと思われた施策やサービスが来月も正しいとは限らないからです。
アジャイル型と呼ばれる開発スタイルも、こうした変化を捉えたうえでの開発スタイルと言えるでしょう。長い時間をかけて設計を綿密に行ったうえで開発に取り掛かるのではなく、プロトタイプをいち早く完成させて、随時修正・改善していくというスタイルは、さまざまな環境の変化に対応する、より良いやり方だと言えるでしょう。
プロトタイプの作成の仕方は、提案書ベースのものもあれば、実際にシステムのプログラムを組んだり、模型を作成する場合もあるでしょう。
セルフ・マネジメントにおいては、こうした最終提案物までのプロセス設計が必要なのです。「計画~実行~行動管理」のプロセスは決して独りよがりで完成するものではありません。簡単なことではありませんが、「プロトタイプをスピーディにアウトプットし、計画は柔軟に変更する」。セルフ・マネジメントにおいてはとても重要なことです。
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